研究課題
基盤研究(C)
糖尿病性腎症進展や急性腎障害から末期腎不全に至る症例は増加の一途を辿っている。これら腎機能低下の主座は、最終共通経路としての細胞浸潤、高度な線維化、尿細管間質障害である。近年様々な腎傷害抑制因子が同定されているが、修復過程を制御する研究はなされていない。B細胞性免疫は腎組織修復に深く関与しているものの、これら腎障害進展における修復過程に制御性B細胞(Breg)-IL-10系がいかに関与し腎保護的に働くかは定かではない。これらが解明されれば、Bregの移入療法が糖尿病性腎症や急性腎障害から末期腎不全への進展を阻止するという新たな腎臓病治療ストラテジーになると考えている。
今回、虚血再還流AKIモデルマウスにおいて、AKI-to-CKDをもたらす病態にIL-10を発現するBregがどのように関わるかについて詳細に検討を行った。AKIモデルでは糸球体におけるIL-10発現は時間とともに低下し、髄質では逆に上昇していた。虚血再還流における糸球体病変としてはIL-10が低下したのちに硬化をきたすことが明らかとなった。Bregの糸球体での存在を確認するために、CD19を用いて共染色を行ったところ、大変興味深いことに、糸球体のメサンギウム細胞にIL-10とCD19が共染色された。メサンギウム細胞がBregとして糸球体保護に働いている可能性を見出した。
近年、AKIは様々な状況で生じることが明らかとなっている。特に高齢者においては動脈硬化による腎虚血からAKIを引き起こし、その後CKDへ移行する。その過程において、尿細管障害が腎障碍の首座と考えられてきたが、我々は糸球体の変化に着目し研究を行った。現状ではAKI-to-CKDへの移行を阻止するための治療法は確立されていない。今回我々は、世界で初めてメサンギウム細胞がBregとして機能していることを見出した。今後はメサンギウム細胞のBregとしての機能解析と治療応用を考えており、新規治療ターゲットとして研究を発展させることは、社会的にも大変意義があることと考える。
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