研究課題/領域番号 |
19K08700
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53040:腎臓内科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
加藤 佐和子 名古屋大学, 医学系研究科, 特任講師 (80625757)
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研究分担者 |
石本 卓嗣 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (00534835)
丸山 彰一 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (10362253)
小杉 智規 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (90584681)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 腸内細菌叢 / 慢性腎不全 / 細胞老化 / コホート研究 / 炎症 / カルシウム / 血管疾患 / 慢性腎臓病 / 老化 / 微生物叢 / 国際共同研究 / 循環白血球に取り込まれた細菌由来のDNA断片 |
研究開始時の研究の概要 |
慢性腎臓病(CKD)患者の表現系は老化に見られる諸変化に酷似し、「腎不全は老化を促進する」という仮説を立案し、尿毒症による免疫学的変調と慢性炎症による老化促進を、基礎的・臨床的両面より実証し報告してきた。その中で慢性腎臓病(CKD)患者(新規維持透析患者)の循環白血球に取り込まれた細菌由来のDNA断片析から、透析導入時に比べて1年後の菌種構成が変化していることを世界で初めて見出した。今回の研究では、尿毒症下での体内の細菌叢の変調が、老化指標であるテロメア消耗やDNAメチル化促進に関与するか、腎不全特有の環境因子を含む詳細な臨床データと合わせて検討し「腎不全は老化を促進するか否か」検証する。
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研究成果の概要 |
血液透析導入時と一年後の患者検体を用いて、循環白血球に取り込まれた細菌由来のDNA断片の解析(Microbiome)を行った。透析導入時の循環白血球に取り込まれた細菌の菌株は、患者の腎不全の原疾患(糖尿病、多発嚢胞腎、腎硬化症、慢性腎炎)によって、大きく異なっていた。 糖尿病の有無や心血管合併症の既往の有無では異差を認めなかった。次に、透析導入時、 導入1年後の細菌叢と健常人の細菌叢と比較した。透析導入患者の細菌叢のクラスター解析では、健常人と比較し炎症と関与している鍵となる細菌叢属の比率に異差があった。 また、血液透析導入時の血清カルシウム値の上昇とバチルス菌の増殖と相関関係があった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
慢性腎臓病患者は、末期には人工透析療法など高負荷の治療を必要とし、心臓病や脳卒中などの血管合併症の罹患率も高い。そのため、慢性腎臓病の進行を抑制と、合併症の予防は社会的にも重要な問題である。今回、循環白血球内に取り込まれた細菌由来のDNA断片を解析したところ、末期腎不全患者の細菌叢は健常人と異なることを見いだした。炎症に関与している可能性のある細菌叢群の比率と血清カルシウム上昇に関与する可能性のある菌の増殖が認められた。慢性腎臓病患者の管理において、腸内細菌叢の変調が炎症の惹起や動脈石灰化に関与している可能性が示唆され、あらたな治療戦略の開発につながるものと思われた。
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