研究課題/領域番号 |
19K08711
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53040:腎臓内科学関連
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
川上 貴久 杏林大学, 医学部, 講師 (10722093)
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研究分担者 |
要 伸也 杏林大学, 医学部, 教授 (60224581)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | PHD / マクロファージ / 敗血症 / 炎症 / 慢性腎臓病 / 慢性炎症 / 低酸素 |
研究開始時の研究の概要 |
慢性腎臓病の多くで腎臓の機能が低下し,それが進行すると透析などが必要になる.しかしその決定的な治療は現在ない.この病気には腎臓の尿細管間質という場所の炎症(白血球などが増えて臓器に傷害を与える状態)や酸素不足が関係する.マクロファージという細胞が炎症の舵取りをし,酸素不足はPHDというタンパク質が感知するが,慢性腎臓病においてマクロファージのPHDがどのようなはたらきをするかは分かっておらず,これが治療の標的になる可能性がある.そこで,マクロファージだけでPHDをなくしたマウスを用いて慢性腎臓病のモデルを作成し,腎臓病や炎症への影響を調べることで,新しい治療に結び付くかを研究する.
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研究成果の概要 |
マクロファージ(MP)の低酸素センサーであるPHDが腎疾患・炎症に与える影響を探索するため,MP特異的ノックアウトマウス(cKO)と同胞のコントロールマウスを用いて各種モデルを作成,解析した.急性腎障害や慢性腎臓病モデルでは差を認めなかったが,LPSによる全身炎症モデルでは有意に生存率が改善した.同モデルの血清,組織,同マウスの骨髄由来マクロファージを用いた解析,単離肝臓マクロファージのトランスクリプトーム解析から,cKOではMPの炎症が抑制されることが生存率改善に繋がることが示唆された.この研究結果は敗血症さらには他の炎症性疾患でMPのPHD抑制が治療へと繋がる可能性を示唆するものとなった.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
血中に細菌が入ることで起こる敗血症は,重度の炎症が起こることで腎臓を含む多くの臓器が障害される重症の疾患である.本研究は,白血球の一種で炎症を司るマクロファージのPHDというタンパクのはたらきを抑えることで,炎症が軽くなり,敗血症のモデルマウスの生存率を改善させることができることを示した.PHDを阻害する薬は,別の目的で既に上市されており,それらの手段によるマクロファージのPHD阻害が,敗血症や,さらには他の炎症性疾患についても臨床応用できる可能性がある.
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