研究課題/領域番号 |
19K08731
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53040:腎臓内科学関連
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
井上 勉 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (30406475)
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研究分担者 |
岡田 浩一 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (60233342)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 慢性腎臓病 / CCN2 / 腎線維化 / 線維化 / focal adhesion kinase |
研究開始時の研究の概要 |
慢性腎臓病(chronic kidney disease: CKD)とは腎機能が低下した状態であり、糸球体硬化、尿細管萎縮、間質の線維化で特徴付けられる。この過程は原疾患を問わずCKDの進行に関わるfinal common pathwayであり、疾患横断的な治療ターゲットとして注目されてきた。我々はこれまでに活性化・障害尿細管上皮細胞が産生するCCN2がこの過程に重要であることを報告している。本研究の目的は「どのようにCCN2を機能制御してCKDの治療薬とするか」という点を、CCN2とFAK(focal adhesion kinase)および細胞内シグナル伝達系に注目して明らかにする事である。
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研究実績の概要 |
【研究の目的】本研究は慢性腎臓病の新規治療薬の開発を最終目的とした基礎研究である。その過程として本研究計画では、我々のこれまでの研究成果から明らかとなった「活性化尿細管上皮細胞が産生するCCN2(旧称:connective tissue growth factor)の線維化促進作用」の詳細を検討し、新規治療薬候補の検討と、治療介入点を明らかにすることを目標としている。昨年度の研究成果を引き継ぎ、本年度も当初の研究計画通りに研究を進めた。 【当該年度の実績の概要】腎臓の尿細管上皮細胞が活性化して産生するCCN2が、同細胞上のintegrin/FAK(forcal adhesion kinase)を介して、Akt/GSK3β(glycogen synthase kinase 3β)/β-cateninのシグナル伝達系を動員することで、慢性腎臓病における腎線維化を促進する機序を明らかにしてきた。 今年度からは、マウス慢性腎臓病モデルを作成し、同経路の阻害薬を投与して抗線維化形質を再現可能か(我々が同定した経路が新規治療薬開発のターゲットとなり得るか)検証を開始した。3つの異なるマウス慢性腎臓病モデル(片側尿管結紮モデル、アデニン腎症モデル、片側虚血再灌流モデル)にβ-catenin阻害薬であるICG-001を投与して経時的に腎臓を摘出(最長2か月間)、腎線維化の進行度合いを組織学的に評価し、さらにRT-PCRで関連遺伝子群(細胞外基質および線維化促進性サイトカイン類)の発現変化を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究内容は計画書の通りであるが、COVID-19の影響で研究の進捗は遅れており、今年度からマウスモデルへの投与が開始となったばかりである。また当初はFAKのリン酸化阻害薬を利用する予定であったが、CCN2からの経路に限定されず線維化の進行に関わる転写因子であるβ-cateninの機能阻害を検討する方針とした。この点は、研究計画の一部変更に該当する(初年度報告の通り)。昨年度に計画したCCN2-integrin相互作用を阻害するデコイペプチドを用いた新薬開発への検討は本年度も遅延している(主に研究費不足のため)。以上から、総合的には「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
必要なリソースの一部は既に購入済であるため、本研究課題を更に1年延長し、マウスモデルへの薬剤投与実験を進める予定とした。昨年度の計画通りβ-cateninの転写因子(複合体)への会合を阻害するICG-001について最初に検討を開始している。今後も同薬について優先して検討を行う。前項にも触れた通り、世界的な物価高騰でマウスの維持費が急増しており、既に研究費は不足している。デコイペプチドを用いた検討は次予算が得られるまで休止とする。
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