研究課題/領域番号 |
19K08734
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53040:腎臓内科学関連
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
和田 幸寛 昭和大学, 医学部, 講師 (10465172)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | Interleukin-34 / マクロファージ / 抗IL-34抗体 / 尿細管アポトーシス / 腎線維化 / IL-34 / Interleukin-34 (IL-34) / Macrophage / TECs apoptosis / Renal fibrosis / マクロファージ (Mq) / 尿細管上皮細胞 (TEC) / Cisplatin腎症 (CP-N) |
研究開始時の研究の概要 |
Interleukin-34 (IL-34)はマクロファージ (Mq)の新規増殖因子として同定され、既知のMq増殖因子Colony Stimulating Factor-1 (CSF-1)と受容体を一部共有するも、CSF-1と異なる作用も持つことが報告されている。一般に、Mqは腎障害進展に深く関与し、CSF-1と腎障害に関する知見は集積されているが、IL-34の腎障害への影響は十分検証されていない。 よって、本検討では急性腎障害と慢性腎臓病のモデルマウスと培養尿細管上皮細胞を用いて、抗IL-34中和抗体の治療実験を施行し、IL-34の腎障害進展機序への関与と治療標的としての可能性を解明する。
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研究成果の概要 |
マクロファージ(Mq)増殖因子IL-34の腎障害への影響は十分検討されていなかったが、シスプラチン腎症(CP-N)と片側尿管結紮(UUO)のモデルマウスにおいて、IL-34は障害後の尿細管上皮(TEC)で高発現し、その受容体(cFMSとPTP-ζ)も障害腎組織で発現亢進していた。また、抗IL-34中和抗体を両モデルに投与すると、腎のMq浸潤は軽減しTECアポトーシスと腎線維化が有意に抑制された。更に培養TECでも、CP及びTGF-β刺激後に抗IL-34抗体で処置すると、ERKリン酸化亢進が抑制されTEC障害も改善した。 以上より、IL-34は腎障害増悪に関与し治療標的となることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究成果により、IL-34が尿細管上皮細胞障害や腎の線維化に関与し、それらの増悪因子であることことが示された。更に、IL-34を阻害することで急性腎障害や腎線維化の増悪が抑制されることも示された。尿細管上皮細胞障害は急性腎障害の主たる要因であり、腎線維化はすべての腎疾患の終末像とされている。よって、これら急性期から慢性期に及ぶ腎障害の本質的な病態に対しIL-34の関与やそれが治療標的となることを解明できた点は、今後増加することが予想されている腎臓病患者の病態と治療戦略への理解を深める上で、重要な知見になりえたと考えられ、学術的及び社会的な意義の高い検討であったと考える。
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