研究課題
基盤研究(C)
中條-西村症候群は戦前から本邦で報告されてきた遺伝性炎症性難病ですが、近年、プロテアソームと呼ばれる蛋白質分解機構の異常が原因であることが判明し、世界各地から似た症例が報告されるとともに、全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患と同じくインターフェロン異常を呈する疾患であることがわかってきました。本研究では、中條-西村症候群と似るもプロテアソーム関連遺伝子に変異のない症例に見出された、新しいインターフェロン制御遺伝子の変異について、その症例や両親由来の細胞、生検組織、変異導入マウスなどの解析によってその病的意義を解明するとともに、インターフェロン異常症に対する新たな創薬の可能性を探ります。
父由来Xaと母由来Xbの複合ヘテロ変異を持つ患児と両親のIFNγ刺激後の細胞内STAT1リン酸化は、不死化B細胞では父、患児で増強した。末梢血単核球におけるI型IFN応答遺伝子の発現はqRT-PCRで患児と父で高値であった。皮疹の免疫組織学的検討では、患児、父ともにpSTAT1の発現は陽性であった。野生型XとXa、Xb変異遺伝子を導入した293T細胞でのXの発現、293T細胞およびX欠損HAP1細胞におけるIFNγ刺激後のISREとGASのレポーターアッセイでは変異による差を見出だせなかった。TRIFおよびIRF3の過剰発現によるIfna4プロモーターの活性化も変異による差はなかった。
患者由来不死化B細胞などで観察された、IFN刺激後のSTAT1リン酸化の亢進が、293T細胞やHAP1細胞に遺伝子を過剰発現させた系では再現できず、X変異の機能的意義を示すことができなかったため、変異マウスの作成やタンパク質の作成ができていない。しかし、XaとXb変異はマウスでもよく保存されていることから、それらの生体内での意義を明らかにし、X欠損マウスと異なるI型IFN異常症モデルを得ることを目標に、CRSPAR/Cas9システムを用いて Xa変異マウスとXb変異マウスを作成し、かけあわせて複合ヘテロ変異マウスを得るよう進めていく。
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