研究課題/領域番号 |
19K08795
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53050:皮膚科学関連
|
研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター) |
研究代表者 |
内 博史 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター), その他部局等, 皮膚科医長 (50437787)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | 創傷治癒 / ケラチノサイト / indirubin / JNK / pregnane X receptor / 慢性創傷 / アリル炭化水素受容体 / インジルビン / 糖尿病性潰瘍 / 難治性潰瘍 |
研究開始時の研究の概要 |
糖尿病性潰瘍に対する新しい作用機序を有する局所治療薬を開発することを目的とする。本研究では表皮ケラチノサイトの遊走を促進することで、速やかな創閉鎖を誘導する化合物の選択を目指す。申請者のこれまでの検討で、アリル炭化水素受容体のリガンドが有望と考えられる。そこで、生細胞解析システムを用いて、in vitroで効率的にケラチノサイトの遊走を促進する化合物をスクリーニングし、その作用機序を解明する。次に2型糖尿病マウス皮膚に潰瘍を作成し、in vivoでの効果を検討する。本研究は、治療の困難な糖尿病性潰瘍患者の救済のみならず、限られた医療資源の有効な分配にも繋がり、社会的インパクトは大きいと考える。
|
研究成果の概要 |
in vitroでの創傷治癒モデルを用いてアリル炭化水素受容体(AHR)のリガンドをスクリーニングしたところ、藍の色素であるインジゴの異性体indirubinに濃度依存的な創傷治癒促進効果を認めた。indirubinは細胞増殖ではなく細胞遊走を増強すること、またpregnane X receptorを介してJNK/c-jun経路を活性化することで効果を発揮した。In vivoの検討ではBALB/cマウスの背部に直径6mmの皮膚欠損創を作成し、indirubinとコントロールであるDMSOの外用による創傷治癒作用を比較したところ、indirubin群で有意に創閉鎖までの期間が短縮した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
従来の慢性創傷に対する薬剤は、潰瘍底における線維芽細胞の増殖による肉芽形成が主たる作用であるため、潰瘍周囲からの上皮化が進まず、創傷治癒が遷延することが問題である。本研究で見出したindirubinは表皮ケラチノサイトの細胞遊走を促進することで、速やかな創閉鎖を誘導する作用を有している。indirubinは慢性創傷に対する新たな作用機序を持つ局所治療薬の開発につながるのみならず、従来の線維芽細胞を標的とした薬剤との相乗効果も期待される。indirubinは古くから染色に用いられてきた藍に含まれる青色の色素indigoの誘導体であり、安価かつ容易に利用でき、毒性の懸念も少ないと考えられる。
|