研究課題/領域番号 |
19K08832
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54010:血液および腫瘍内科学関連
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
長尾 俊景 東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 助教 (10622798)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 難治性B細胞腫瘍 / COT(TPL2) / 臨床的バイオマーカー / COT |
研究開始時の研究の概要 |
近年の分子標的薬の発展や腫瘍原性の解明が進む一方で、一部のB細胞腫瘍では未だ治癒を目指せる治療戦略が確立していない。これらの腫瘍の難治性と関係が深い特徴の一つとしてNF-κB経路やJak-STAT3経路の構成的活性化が挙げられ、これらは申請者のこれまでの主要な研究テーマと深く関連する。本研究計画では、NF-κB系によって調節を受け、多様な病態に関与する細胞内キナーゼCOTのB細胞腫瘍における役割に注目し、新規標的分子として、さらに治療抵抗性・難治性に関わる臨床的バイオマーカーとしての可能性を探索する。これら成熟B細胞腫瘍の難治性克服につながるブレイクスルーとなることが期待される。
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研究成果の概要 |
本研究において我々は、難治性B細胞リンパ腫の一種ABC-DLBCLにおいてCOTキナーゼが活性化し、病態特異的にIL-6/IL-10のautocrineを介してSTAT3を活性化し、腫瘍原性に関与していることを見出した。また、この機序はABC-DLBCLに特徴的に認めMYD88変異体に依存性で、COT/p105経路が、ABC-DLBCLの主要な活性化シグナル伝達経路と協調的に作用し、腫瘍細胞の増殖を調節していることを示した。一方病理組織学的検討により、COTの高発現がABC-DLBCLの最も予後不良な一群と関連する可能性が示唆され、臨床的バイオマーカーとしての有用性が示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ABC-DLBCLなど難治性リンパ腫の治療戦略は、NGS関連技術の進歩を背景に新たな時代を迎えている。特に予後不良群においては、細胞起源や特異的遺伝子異常など、より生物学的特性に基いた分子標的の抽出が重要な課題であるが、本研究で我々が見出したCOTは、ABC-DLBCLにおける新たな分子標的として有望である。また他疾患領域では既にCOT阻害薬の臨床応用が見込まれており、将来の抗腫瘍薬の領域への応用も十分に期待できる。また、免疫組織学的染色を用いた解析で、予後不良症例を同定するための臨床的バイオマーカーとしての有用性も示されており、実臨床における治療成績の向上に貢献できる可能性がある。
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