研究課題/領域番号 |
19K08838
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54010:血液および腫瘍内科学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
川瀬 孝和 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (30463194)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2019年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | ゲノム編集 / T細胞療法 / 制御性T細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
自己免疫疾患の治療、固形臓器移植後の移植臓器の安定的な生着、造血幹細胞移植後の移植片対宿主病の治療を目的とした抗原特異的制御性T細胞を用いた免疫療法は、少数の細胞で高い免疫制御効果を発揮することが報告されており、体に必要な免疫反応が保持されることが期待される。しかし抗原特異的制御性T細胞は、炎症が起こっている体内では十分な免疫制御効果が発揮できないことが報告されている。本研究では、ゲノム編集の技術を用いて、炎症が起ってる体内でも免疫制御効果を十分に発揮できる遺伝子改変制御性T細胞を開発し、今後のT細胞免疫療法に役立てることを目的とする。
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研究実績の概要 |
新たながん免疫療法、造血幹細胞移植後の再発の際の治療、あるいは再発予防の手段としてT細胞受容体(T-cell receptor, TCR)導入T細胞(TCR-T)の開発が行われているが、より安全で有効性の高いTCR-Tを作出するためには多くの課題が残されている。特に、内在性のTCRサブユニットと導入したTCRサブユニットのミスペアリングは、有害な免疫学的事象のリスクに関与し得るため、その回避を可能とする技術の開発が強く求められている。すでにTALENを用いたターゲットゲノム編集により内在性のT細胞受容体(TCR)をノックアウトしたT細胞に、所望の抗原に特異的なTCRの遺伝子を高効率に導入する新規技術の開発に成功しているが、これまでは、内在性のTCRのノックアウトと所望のTCRの導入に多段階のステップが必要であり、作出したTCR-Tのバイアビリティが低いことが問題となっていた。本年は、実際のTCR-T製剤作出への応用を想定し、細胞のバイアビリティ低下を最小限に留め、できるだけ少ないステップ数で内在性のTCRをノックアウトし目的のTCR遺伝子をノックインするための方法を検討した。TRB遺伝子のC領域配列を標的としたP-TALEN mRNAを用いてTCRβをノックアウトしたのち、TRA遺伝子のC領域配列を標的としたP-TALEN mRNAを用いてTCRαをノックアウトすると同時に、P-TALENによるゲノム切断部位にオン・ターゲットでドナー遺伝子を導入することにより、2ステップで従来よりバイアビリティの高いTCR-Tを作出することが可能であった。また、TRA遺伝子C領域切断部位にオン・ターゲットでドナー遺伝子が導入されていることを、サンガーシークエンスおよび、次世代シークエンサーによるアンプリコンシークエンスで確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年は、様々な方法を比較検討し、従来より少ないステップでの遺伝子のノックアウトとノックインにより、従来に比べバイアビリティの高い遺伝子編集T細胞を作出することが可能となった。また遺伝子がオンターゲットで正確に導入されていることを確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
TALENによるTCR遺伝子ノックアウトの際のオフターゲット効果を評価し、本方法でより安全にゲノム編集T細胞の作出が可能なことを確認するとともに、遺伝子導入ベクターやTALENをさらに改良してよりバイアビリティの高いゲノム編集T細胞の作出方法を検討する。さらに、本方法をもちいて、安全で高効率な抗原特異的ゲノム編集制御性T細胞を作出する方法を検討する。
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