研究課題/領域番号 |
19K08850
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54010:血液および腫瘍内科学関連
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研究機関 | 鈴鹿医療科学大学 |
研究代表者 |
鈴木 宏治 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 教授 (70077808)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 抗凝固薬 / DOACs / Xa因子阻害薬 / Xa因子受容体 / 抗腫瘍作用 / 大腸癌細胞 / DOAC / 抗腫瘍効果 / 組織因子 / 第Xa因子 / エドキサバン / PAR2 / アポトーシス / Xa因子 / PAR-2 / PAR-1 / PAR-2-KOマウス / 癌細胞の増殖 / 癌細胞の転移 / 経口抗凝固薬 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、抗凝固薬DOACが示す抗腫瘍作用の分子機序を明らかにするため、以下の研究を行う。(1)担癌マウスを用いて、トロンビンならびにXa因子特異的DOACと既存の抗癌薬の抗腫瘍作用の薬理機序の違いを解析する。(2)種々のがん細胞に対して、siRNAを用いて作成したPAR-2あるいはPAR-1欠如癌細胞に対するDOACの影響について分子薬理的解析を行う。(3)担癌マウス(ホスト)の凝固因子受容体の関与を明きらかにするため、PAR-1-KOマウス、PAR-2-KOマウスおよび正常マウスを用いて、移植癌細胞の増殖と転移、腫瘍内血管新生、血管内皮や転移臓器の炎症性病態の差異を比較解析する。
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研究成果の概要 |
直接経口抗凝固薬(DOACs)は、脳血栓塞栓症や下肢深部静脈血栓症の予防薬として広く用いられている。本研究では、DOACsの抗腫瘍作用について解析した。大腸がん細胞を移植した担癌マウスに、抗トロンビン薬(ダビガトラン)と抗Xa薬(エドキサバン[EDX]、リバーロキサバン)を連日経口投与し、21日目のマウスから血液および腫瘍組織を採取し解析した。その結果、解析したDOACsのうち、特にEDXは投与量依存性に腫瘍細胞の増殖を抑制し、血中及び腫瘍組織中の腫瘍増殖関連因子の発現と細胞分裂関連因子の発現を抑制するとともに、腫瘍組織のアポトーシスを促進するなど、EDXの抗腫瘍作用が明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
癌患者数は増加の一途にあり、これまでにない新しい視点からの癌の発生や増殖・転移阻止の方策の確立が求められている。私はこれまでの研究で、血液の流動性維持に重要な凝固制御因子が癌細胞の増殖や転移を抑制する可能性を示してきた。そこで本研究では、癌細胞の増殖に及ぼす直接経口抗凝固薬DOACsの影響を解析した。その結果、DOACsの一つEDXが凝固第Xa因子受容体の活性化を阻害して癌細胞の増殖を著しく抑制するとともに、EDXが腫瘍組織のアポトーシスを誘導し、抗腫瘍作用を示すことを明らかにした。本研究成果は独創的で学術的にも重要であり、癌制御に向けた社会的意義は非常に大きいと考えられる。
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