研究課題
基盤研究(C)
後天性赤芽球癆は自己免疫疾患であると考えられているが骨髄系腫瘍関連遺伝子の体細胞変異およびSTAT3遺伝子変異などが存在することが明らかになりつつある。「自己免疫疾患の病因・病態・難治化に後天的な遺伝子変異が関与しているか?」を核心的学術的問いとして、難治性疾患実用化研究事業「次世代シーケンシングによる再発・難治性後天性赤芽球癆の診断と治療に関する研究(代表・廣川誠)」によって患者検体で得られた遺伝子変異に関する予備的知見をもとに、その病態における遺伝子変異の役割、生物学的意義を明らかにすることを目的として、CRISPR/Cas9ゲノム編集技術を用いたin vitroおよびin vivoの研究計画を提案する。
再発・難治性後天性赤芽球癆の病態に、造血に関わる遺伝子の後天性変異が関与している可能性を検証する作業仮説として、後天的遺伝子変異がにおける病態解明と新規治療開発の基盤形成を目的として、成人後天性赤芽球癆38例の骨髄系腫瘍関連遺伝子の体細胞変異の有無をターゲット・シーケンスを用いて解析した。38例中27例において、少なくとも一つ以上のリファレンスゲノムシーケンスと異なる遺伝子配列を同定した。変異の部位はアミノ酸翻訳領域が46種類、アミノ酸非翻訳領域が14種類であった。変異アリルの頻度は0.023~0.597の範囲にあり、高頻度および低頻度の遺伝子多型(SNPs)が含まれていることが示唆された。現在、これらの遺伝子変異の臨床的意義について複数の遺伝子変異データベースと照合中である。また、今回体細胞遺伝子解析を行った症例の免疫抑制療法に対する反応性と変異の内容との関連についても解析を行っているが、我々の当初の作業仮説が正しいことを強く示唆する結果と考えられる。体細胞変異の遺伝子の種類および部位が明らかになった時点で、それらの遺伝子異常の機能解析をin vitroおよび動物実験モデルを使って明らかにすることが望まれる。
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Scientific Reports
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