研究課題
基盤研究(C)
2015年より申請者を研究代表者として、日本初となる小児HLに対する前方視的第II相臨床試験(HL-14)が開始され、HLの臨床背景が初めて明らかになる見込みである。近年、分子標的薬や抗PD-1抗体療法の有用性が示されている。本研究では腫瘍細胞、bystander細胞と末梢血の網羅的遺伝子解析を行うことにより、腫瘍に適応化された免疫不全状態の実態を解明し、これらを改善させる因子を同定する。本成果は、HLに対する免疫療法を最大限に引き出す治療法確立に資するものと期待され、次期アジア国際試験につなげたいと考えている。
小児ホジキンリンパ腫(HL)は日本では年間20例程度と稀少疾患である。古くよりABVD療法が標準的治療として確立し、放射線治療併用で90%以上の高い生存率が達成された。一方、二次がん、性腺障害などの晩期合併症が多いことが深刻な問題であり、新たな治療軽減型戦略が求められる。HLを特徴づけるRS細胞はさまざまbystander細胞を抑制的に促し、HLは特異ながん微小環境を形成するという細胞免疫学的特殊性を有する。今回、日本小児がんグループの臨床研究を通して回収した小児HLの貴重な臨床検体を用い、免疫不全スクリーニング、HRS細胞増殖に関連する微小環境の病態を解明をおこなった。
1. 個々に適した治療戦略を遂行するために新たな予後予測因子を同定する、2. 患児における細胞性免疫不全(腫瘍監視機構の機能不全)の病態を解析する。これら解明により、二次がん発症などの晩期合併症リスク軽減につながる可能性があり、小児HL治療成績の向上が望める。さらにこれまでに明らかにされなかったHL細胞性免疫不全の解析は、小児HLに限らず、他小児希少がんの病態解明に寄与するものと期待される。
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臨床血液
巻: 63 ページ: 1316-1324
Int J Hematol .
巻: 111(5) 号: 5 ページ: 711-718
10.1007/s12185-020-02820-1