研究課題
基盤研究(C)
Helicobacter cinaediは、培養による検出率が低いため、本菌による感染症の治療方針は確立していない。また、本菌はヒトや動物の消化管内に生息するとされるが、保菌状況やヒトへの感染経路は解明されていない。本研究では、日本全国の無菌検体から検出されたH. cinaediを収集し、薬剤感受性測定と薬剤耐性遺伝子、病原因子の検出を行い、本菌による感染症の治療戦略を構築する。また、ヒトと動物の糞便の培養と遺伝子解析により本菌の保菌状況を明らかにする。さらにこれらの株を分子疫学的手法により型別し、本菌の伝播様式を解明する。本研究により、H. cinaedi感染症の実態を明らかにする。
臨床検体の培養で発育したHelicobacter cinaediに加え、組織からH. cinaediのDNAを収集した。これらのMLSTは、多様性を示していた。今回臨床検体から検出されたH. cinaediにおいてはすべての株で、マクロライド系およびキノロン系薬に耐性を示しうるアミノ酸置換が認められた。一方で、β‐ラクタムに耐性を示しうるアミノ酸置換は見られなかった。また、今回収集した健常人および動物の糞便からH. cinaediは検出されなかった。本菌はマクロライド、キノロン系への耐性を示しうることから、治療の際はこれらの薬剤の使用を避け、β-ラクタム系薬の使用を考慮する必要がある。
本検討において、培養陰性の感染性動脈瘤の手術組織から多く H. cinaediが検出されていた。このことから、 H. cinaediは培養陰性の感染性大動脈瘤の重要な原因菌であることが明らかとなった。感染性大動脈瘤の場合、本菌を念頭に置き微好気培養や培養期間の延長をすべきである。また、本菌はマクロライド系およびキノロン系に耐性を示しうるため、治療の際はこれらの薬剤の使用を避け、βラクタム薬を使用する必要がある。以上のように本検討により、速やかに適切な治療を行わなければ致死的となりうる培養陰性の感染性大動脈瘤の抗菌薬選択についての知見を提唱することが可能となり、治療に直結すると考えられる。
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