研究課題
基盤研究(C)
狂犬病は致死率ほぼ100%のウイルス性脳炎であるが、曝露後治療(PEP)により発症阻止が可能である。しかし、免疫グロブリン(RIG)を使用できないことや頭頸部への曝露等の理由により、「PEPが失敗」するケースがある。そこで本研究では、現状に即した「失敗しないPEP」の確立に向け、RIGの代替としてのPEPにおける抗ウイルス薬投与の有効性、および頭頸部への曝露に関して抗ウイルス薬の血液脳関門を超えて脳内に浸透させる術としてマイクロバブル・経頭蓋的集束超音波併用法の有効性について、ウイルス感染モデルマウスを用いたin vivoイメージングにより評価し、効果の高いPEPレジメンの提案を行う。
不治の病である狂犬病では、カテゴリーⅢに分類される重度咬傷の場合、免疫グロブリン製剤(RIG)と狂犬病ワクチンの連続接種による曝露後治療法(PEP)でも救命しえない場合がある。重度の曝露に対してアクセスしやすく、より効果的なPEPレジメの提案に向け、抗ウイルス薬ファビピラビルの効果的な投与法についての検討を行った。薬剤の脳血液関門の透過性を更新させるため、シクロデキストリンによる修飾を行い、その効果を検討したが充分な結果は得られなかったが、重症曝露後直ぐにファビピラビルを経口連続投与し、引き続きワクチンの連続投与をすることで充分な発症予防効果が得られ、新たなPEPとして提唱し得ると考えられた。
当初の研究目的で挙げた、狂犬病発症後の脳血液関門の透過性を上昇させる結果は最終的に得られなかったが、これまでに狂犬病ウイルスに対する抗ウイルス効果を確認できている薬剤ファビピラビルをウイルス曝露直後に経口投与し、その後に狂犬病ワクチンの連続接種を行うことで、抗狂犬病免疫グロブリンの効果と遜色無い、100%での発症予防効果を確認できた。このことは、カテゴリーIIIの重度曝露に対する新たな発症後治療のレジメを提示できたものと考えられ、本研究の最終目的の達成に適うと考えられた。
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