研究課題/領域番号 |
19K08977
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54040:代謝および内分泌学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山根 俊介 京都大学, 医学研究科, 助教 (90582156)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | インクレチン分泌 / GLP-1 / CAR8 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、炭酸脱水酵素8 (carbonic anhydrase 8; Car8) のGLP-1分泌における機能の解析を目的とする。申請者はこれまでGLP-1に関して、名古屋大学の林 良敬准教授との共同研究により、グルカゴン (Gcg) 遺伝子にGFPをノックインしたL細胞可視化マウス(gcg-GFPノックインマウス)を用いてL細胞の単離に成功しており、さらに単離L細胞の網羅的遺伝子発現解析の結果、L細胞において特徴的に発現の高い分子を複数同定している。その中で、中枢神経系においてIP3受容体を介した小胞体からのカルシウム流出制御に関わることが報告されている分子Car8について着目した。
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研究成果の概要 |
単離L細胞におけるCar8遺伝子発現は非L細胞に比較して有意に高値であり、マウス下部小腸免疫染色でもL細胞でのCAR8発現を確認した。長鎖脂肪酸刺激によるSTC-1細胞からのGLP-1分泌は、Car8の発現抑制により増強、過剰発現によって低下した。さらにα-リノレン酸刺激時STC-1細胞内カルシウム濃度の上昇はCar8発現の抑制により増加した。CAR8機能欠失型変異マウスの経口糖負荷時GLP-1分泌は野生型マウスと同等であったが、コーン油投与時GLP-1分泌は野生型マウスに比べて有意に高値であった。以上の結果から CAR8は長鎖脂肪酸誘導性GLP-1分泌の制御に関与することが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
Car8を介したGLP-1分泌制御機構を明らかにすることにより、内因性GLP-1分泌を増強する薬剤の開発につながる可能性があり、糖尿病治療の新たな標的となりうると考えている。L細胞が標識されたマウスや、単離腸管内分泌細胞の確立した解析技術を併せ持つ研究室は世界的に見ても限られており、また中枢神経系以外の細胞・組織におけるCar8の発現・機能に関しては全く報告がなく、本研究の独自性は極めて高いといえる。さらに本研究での解析手法や知見が、他の腸管内分泌ホルモンの分泌・作用機構も含めた腸管内分泌システムの統合的理解への端緒となりうるため、より広い領域への波及効果も期待できる。
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