研究課題
基盤研究(C)
肥満・2型糖尿病の血管内皮細胞では、「血管内皮細胞の選択的インスリン抵抗性」が惹起され、その結果動脈硬化症を発症すると考えられているが、その詳細なメカニズムは不明である。そこで本研究では、第一にリゾフォスファチジルコリン(16:0)がどのように血管内皮細胞のIRS-2の発現を調節しているのか、またそれによって「血管内皮細胞の選択的インスリン抵抗性」を発症するのかどうか検討する。第二に血管内皮細胞でIRS-2が低下すると、本当に動脈硬化症を発症するのかどうかについて血管内皮細胞特異的IRS-2欠損マウスを作成し、粥状動脈硬化とそのメカニズムについて検討する。
血管内皮細胞でIRS-2が低下すると、本当に動脈硬化症を発症する のかどうかについて血管内皮細胞特異的IRS-2/ApoEダブル欠損マウスを作成し、高コレステロール食負荷を15週間行った。大動脈弁輪部の粥状動脈硬化を検討したところ、血管内皮細胞特異的IRS-2/ApoEダブル欠損マウスでは有意に粥状動脈硬化が亢進していた。また血管においてMCP-1やiNOSといった炎症性サイトカインやICAM1やVCAM1といった接着因子が上昇していた。以上のことから血管内皮細胞でIRS-2が低下すると炎症性サイトカインが増加し、動脈硬化が惹起されることが明らかとなった。
肥満や2型糖尿病は動脈硬化発症の重要なリスクファクターの一つであるが、なぜ肥満や2型糖尿病で動脈硬化が促進するのかは十分に解明されていない。血管内皮細胞は、動脈硬化発症・進展にも重要な役割を果たしており、「血管内皮細胞の選択的インスリン抵抗性」に着目した研究は、上流にある肥満や2型糖尿病と下流にある合併症としての動脈硬化症を包括的に解明しようとするものでありきわめて意義深い。本研究で血管内皮細胞のインスリンシグナル、特に選択的インスリン抵抗性を介した動脈硬化症における役割が解明されることにより、これまでにない新規の抗動脈硬化薬の発見という画期的な意義が予想される
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