研究課題/領域番号 |
19K09007
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54040:代謝および内分泌学関連
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研究機関 | 鈴鹿医療科学大学 (2020-2022) 高知大学 (2019) |
研究代表者 |
岩崎 泰正 鈴鹿医療科学大学, 保健衛生学部, 教授 (30303613)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | プロオピオメラノコルチン / ストレス / ネガティブフィードバック / グルココルチコイド / 下垂体 |
研究開始時の研究の概要 |
視床下部・下垂体・副腎系におけるネガティブフィードバック調節の分子機序解明に焦点を当てた今回の研究では、グルココルチコイド受容体 (GR) と相互作用する可能性の高い4つのシグナル伝達因子、すなわち Rasd1(Dexras1)、HDAC6、FKBP5、FKBP4、ならびに ACBD7 を対象とした検討を行う。特に前4者がグルココルチコイドで誘導され POMC(またはCRH)遺伝子発現の抑制性調節に関与しているか否か、また ACBD7 がレプチン存在下で発現が誘導され、弓状核 POMC 遺伝子の発現誘導に関与しているか否かを、主として in vitro の系を用いて解析する。
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研究実績の概要 |
2022年度も、医療系大学である鈴鹿医療科学大学の学内において、新型コロナ感染症に対応した強力な感染予防対策が講じられていたことから、所属ゼミ学生の自由な研究活動が大きく制限され、結果的に施設内における研究活動は大きく遅滞した。 一方で、以前から長年にわたり共通の研究テーマで連携を行っている他施設と研究資材を共有しつつ、基礎的な実験を継続した結果、研究自体を進展させることは可能であった。 その結果として、TGFbeta 遺伝子ファミリーに属する生体内生理活性物質である Growth differentiation factor 15 (GDF15) が、下垂体 POMC 発現細胞でグルココルチコイドにより誘導され、局所的に proopiomelanocortin (POMC) 遺伝子の発現を抑制すること、またこの現象がグルココルチコイドによるネガティブフィードバック調節に関与している機序の存在が想定されること、などの新たな知見を明らかにすることができた。 これらの成果は、英文の原著論文として、国際的に歴史のある Peptides 誌に採択され、発表された(Kageyama K, Iwasaki Y, Watanuki Y, Murasa S, Niioka K, Tasso M, Kosugi A, Daimon M. Growth differentiation factor-15 modulates adrenocorticotropic hormone synthesis in murine AtT-20 corticotroph cells. Peptides 2022: 155: 170841)。また関連した研究を、日本内分泌学会の公式英文雑誌である Endocrine Journal にも原著論文として発表した(Hasegawa R, Kageyama K, Iwasaki Y, et al. Effects of tubastatin A on adrenocorticotropic hormone synthesis and proliferation of AtT-20 corticotroph tumor cells. Endocrine Journal 2022; 69: 1053-1060)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前述の如く、昨年度も、医療系大学である本学の学内において新型コロナ感染症に対応した感染予防対策が講じられていたことから、職員および学生の研究活動は大きく制限され、施設内における実験は遅滞せざるを得なかった。 しかし、そのような制約の中にあっても、長年にわたり共通の研究テーマで連携を行ってきた他施設と研究資材を共有して実験を行った結果、今回の研究課題に沿った研究成果を上げることができた。またその成果は、英文原著論文として、国際的な学術誌である Peptides 誌(インパクトファクター 3.867)に原著論文として発表することができた(Kageyama K, Iwasaki Y, Watanuki Y, Murasa S, Niioka K, Tasso M, Kosugi A, Daimon M. Peptides 2022:155:170841)。 このため、研究自体はおおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究において、GDF15が、下垂体のレベルにおいてグルココルチコイドによるネガティブフィードバック調節に関与している機序の存在を強く示唆する成績を得た。すなわち、間脳下垂体副腎系の調節機構において GDF15 が何らかの役割を果たしている可能性が強く示唆された。 このため、2023年度の研究は、その分子機構の詳細を更に明らかにする。また、GDF15が「視床下部」の corticotropn releasing factor (CRF)や arginine vasopressin (AVP) の発現のレベルにおいてもグルココルチコイドによるネガティブフィードバック調節に関与している可能性を考慮して、視床下部由来の細胞を用いて研究する予定である。具体的には、GDF15 が視床下部神経細胞の CRF や AVP mRNA 発現にいかなる影響を及ぼすかを検討する。また、もし作用が認められた場合は、GDF15 が特異的な受容体(GFRAL)を介して作用しているか否かも、受容体の発現も含めて解析する。
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