研究課題
基盤研究(C)
体内への脂肪の過剰な蓄積は、糖尿病、脂質異常症、高血圧などの生活習慣病に共通する要因であり,そのプロセスの解明は、これらの疾患の予防を考える上で重要である。近年、量的形質遺伝子座(QTL)解析の手法により、プロテインホスファターゼ PPM1Lが新規の代謝異常・肥満関連遺伝子として報告された。本研究課題では、代謝異常形質の形成におけるプロテインホスファターゼPPM1Lの関与を、脂質合成系の重要な転写因子であるSREBP1cに着目して明らかにすることで、肥満や糖尿病など関連疾患の予防・治療の基礎知見となりうる有用な情報の提示をめざしてゆく。
プロテインホスファターゼ PPM1Lに関して、肥満症の原因遺伝子であるとの報告があるが、その分子メカニズムは不明である。PPM1Lは脂質合成系で機能する転写因子であるSREBP1c の機能制御に関わるリン酸化部位を脱リン酸化することができた。一方、KO細胞の解析から、PPM1L がTGFbeta/Smad2径路の制御を介してインテグリンの発現制御に関わり、細胞接着を調節することが示唆された。
肥満は、糖尿病や脂質異常症、高血圧症、心血管疾患などの多くの疾患の原因となるため、その予防は健康な生活を送る上で重要である。本研究では、脂質代謝に関わる重要な因子であるSREBP1c の調節にタンパク質脱リン酸化酵素であるPPM1Lが関わる可能性を示すことができ、生活習慣病の予防に資することが期待できる。
すべて 2021 2019
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
Circulation Journal
巻: 85 号: 6 ページ: 929-938
10.1253/circj.CJ-20-0783
130008043200
Biochem. .Biophy. Res. Comm.
巻: 570 ページ: 169-174
10.1016/j.bbrc.2021.07.012
Molecular Medicine Reports
巻: 19 ページ: 5353-5360
10.3892/mmr.2019.10194