研究課題/領域番号 |
19K09036
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54040:代謝および内分泌学関連
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
八木橋 操六 東邦大学, 医学部, 教授(寄付講座) (40111231)
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研究分担者 |
水上 浩哉 弘前大学, 医学研究科, 教授 (00374819)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 2型糖尿病 / インスリン抵抗性 / 膵島血管 / 膵島神経 / 病理変化 / 膵島病理 / 自律神経 / 微小血管 |
研究開始時の研究の概要 |
糖尿病では膵島に分布する毛細血管や自律神経も同じように障害を受け、膵島病変を進展させることが推定されるがこれまで糖尿病での膵島細小血管障害、神経障害の病理・病態、およびその進展に関する情報は極めて少ない。2型糖尿病でのβ細胞減少やインスリン抵抗性状態と膵島神経・血管構築の異常との関連を解析し、かつ治療によるその介入を試みることは2型糖尿病の病態を改善させる新しい治療法の探索へとつながる。本研究では、ヒトおよびラットでの2型糖尿病の膵島での神経・血管構築異常を明確にし、因果関係を含めた糖尿病病態との関連を解析する。また、病理変化に関与する因子を明らかにし治療による可逆性の有無について検討する。
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研究実績の概要 |
2型糖尿病の病態の基本として血糖調節機構の破綻がある。その基本はインスリン分泌膵β細胞の欠落である。一方ではインスリン抵抗性というインスリン作用の減弱も2型糖尿病の誘因とみなされている。インスリン抵抗性がいかに膵島β細胞の異常や欠落をもたらすのかは未知のままである。膵島微小環境の変化として血管変化からの虚血・血流異常や自律神経系の調節異常など複雑な因子の関与も推定されている。今回支援を受けた研究では、膵島β細胞の微小環境がインスリン分泌やβ細胞の生存に深く関与することを想定し、ヒト2型糖尿病でのβ細胞異常と関連する膵島内細小血管および神経支配の病理変化についてヒト2型糖尿病の膵組織を用いて検討を試みた。対照には年齢、性をマッチさせた非糖尿病ヒト膵組織を用いた。主な結果として、糖尿病者膵では、β細胞量の減少とともにα細胞量の増大をみた。また、膵島内線維化とともに細小血管の構築不整、間質の硝子化を認めた。硝子化物質はチオフラビン蛍光陽性のアミロイドであり、その量はβ細胞量の減少と負の相関を呈した。一方、膵島内血管面積も糖尿病者で減少し、血管壁肥厚を認めた。電子顕微鏡での観察で血管基底膜肥厚、さらには周皮細胞の減少をも認めた。血管壁は糖尿病性細小血管障害の特徴的所見であり、血管壁肥厚が加速度的にβ細胞減少をもたらす可能性が示された。膵島血管変化は心筋梗塞、脳梗塞を合併する大血管障害合併糖尿病患者で高頻度に観察された。これに対し、大血管障害の目立たない糖尿病症例では、膵島変化も軽微であった。大血管障害は強いインスリン抵抗性と関連することが知られており、それに応じて膵島内でも特徴的な血管障害が惹起されるものと推定される。今回の研究は予後不良の2型糖尿病患者の臨床的特徴を明らかにし、それへのtailored medicineの必要性を示すものと考えられた。
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