研究課題/領域番号 |
19K09100
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
木村 隆 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (00381369)
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研究分担者 |
佐瀬 善一郎 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (10468126)
斎藤 拓朗 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (20305361)
丸橋 繁 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (20362725)
見城 明 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (40305355)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 手術トレーニング / 拡張現実 / シミュレーター / 拡張現実(AR) / シミュレーション / 手術訓練 / 外科医学教育 / 拡張現実(AR) / 手術手技 / 医療安全 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では高度な手術手技の訓練を行うための人体解剖が忠実された手術訓練用シミュレーターを拡張現実(AR)技術の応用によって作成する。AR技術の応用で既存のシミュレーション技術を統合することによって、倫理面に配慮した、製造コスト、ランニングコストが抑えられ、かつアクセスしやすいシミュレーターを開発する。このシミュレーターは外科医の手術訓練環境の改善を通して安全な外科医療の提供に寄与できるとともに、off-the jobトレーニングの充実を通して充足率の低い外科医の招聘にも役立つものと予想される。
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研究実績の概要 |
本研究では、拡張現実(Augmented Reality/AR)を応用した手術手技訓練用のシミュレーターの開発を目標として、以下の4点について研究を進めてきました。 1.シミュレーター作成用のデジタルデータベースの構築:臨床で一般的に使用されている画像の記録様式DICOMから、CADで使用されるデータ(STLなど)への変換は手間のかかる作業でした。シミュレーターの作成を計画した際に、すぐに利用できる臓器のデジタルデータのデータベースがあれば開発が促進されると考え、整備を行いました。 2.シミュレーターの製品化の促進:医療用シミュレーターの開発では、作成のコストが高いことが開発の妨げとなっていました。この問題を克服するために、福島県内の企業と共同で、低コストで大型のシミュレーターを製品化するための技術を開発してきました。安価な素材(段ボールや発泡スチロールなど)を材料にした3D構築の技術を開発し、これまで開腹手術用のトレーニングシミュレーター、腹腔鏡手術用のトレーニングシミュレーター、小児外科手術用のトレーニングシミュレーター、人工心臓装着のためのトレーニングシミュレーターなどを開発し実用化してきました。今年度は紙を原料としたより安価なトレーニング環境の開発に取り組み、試作品を完成させました。 3.ARを応用した現実と仮想現実の融合:上記の1、2の技術を応用して、現実部分と仮想現実部分をそれぞれ作成し、AR技術によってこれらを融合することができました。 4.ウエアラブルディスプレイとARを応用した手術トレーニングシステムの作成を進めてきましたが、既存のデバイスでは視線の方向や距離が手術訓練には適さないことが判明しました。そのため、計画を変更し、タブレット機器を利用して、学習者が自らニーズに応じたシミュレーターをデザインできる開発環境を構築しました。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は上記の4項目について下記のような進捗がありました。 1.シミュレーター作成用のデジタルデータベースの構築:順調に進展し、新たなデータセットを構築することができました。また、今年度はプログラミングによって作業の一部を自動化することが可能となり、作業効率を向上させることができました。 2. シミュレーターの製品化の促進:順調に進展し、安価にシミュレーターを作成する方法を複数開発することができました。今年度は新たに紙を原料に張子の技術を応用する作成方法を考案し試作品を作ることができました。 3. ARを応用した現実と仮想現実の融合:順調に進展し、現実部分とVRをそれぞれ作成して融合することが可能になりました。空間座標をより正確に再現するための仕組みを開発することができました。 4. AR技術を応用した手術訓練用シミュレーターの開発:計画を変更し、タブレット機器を利用することによって主に鏡視下手術に応用できるARシミュレーターを開発することができました。ただし、コロナウイルス感染対策のため、作成したシミュレーターの有用性を検討するための試験が行えていません。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は上記の4項目について下記のように研究を推進する方針です。 1. シミュレーター作成用のデジタルデータベースの構築:より多くの場面で応用できるようにデータセットの作成を進展させます。新たなシーンや状況に対応できるようなデータを収集し、データセットの拡充を図ります。 2. シミュレーターの製品化の促進: 引き続き利用者が入手しやすいシミュレーターを作成するための製造方法を開発します。福島県の医療福祉課機器産業協議会において医療トレーニングに関する分科会が新設され、医療トレーニング用シミュレーションの開発に多くの企業の協力が得られるようになりました。 3. ARを応用した現実と仮想現実の融合:手術トレーニングのニーズを調査し、目的にあったARシミュレーターの作成を進展させます。学習者の要望や必要性に基づいて、より実践的で効果的なトレーニング環境を提供するために、AR技術を活用したシミュレーターを開発します。 4. AR技術を応用した手術訓練用シミュレーターの開発:作成した手術トレーニング用シミュレーターの有用性を検証するための試験を実施します。試験によってシミュレーターの効果や効率性を評価し、医療従事者の手術技術の向上や安全性の確保に貢献することを目指します。
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