研究課題/領域番号 |
19K09132
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
鶴田 雅士 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師(非常勤) (00348666)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 大腸癌肺転移 / 肺内サーファクタント蛋白d / 転移性肺癌 / 肺サーファクタント蛋白d / 大腸癌 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は端的には「肺転移はなぜ起こるのか?」あるいは「ほかの臓器,例えば肝臓への転移や腹膜播種との違いは何か」といった学術的な問いに答えるものである.そもそも転移は癌そのものの性質に加え,「場」の影響が大きい.つまり臓器特異的な転移のメカニズムを理解するうえでは,転移臓器の「場」の癌免疫を理解することは非常に重要と考えられる.そこで肺に特異的に存在するSP-Dに着目し,培養細胞レベルではあるが,SP-Dが肺癌の発症に関与していることが報告されたことから,我々は大腸癌肺転移の形成,増悪にもSP-Dが関与していることを明らかにするために本研究を行う.
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研究成果の概要 |
本研究では、大腸癌肺転移における肺内サーファクタント蛋白d(SP-D)の役割を明らかにした。まず、大腸癌培養細胞は、SP-Dがあると、その増殖が抑えられることを明らかにした。次に、SP-Dのないノックマウスでは、通常のマウスと比較して肺転移が起こりやすいことも明らかにした。また、新しく肺転移が起こりやすい細胞を作ると、SP-Dが存在していても、増殖の抑制が起こりにくいことを明らかとなった。つまり、肺にあるSP-Dは大腸癌肺転移を抑えるのに重要な働きをしており、これを用いた新規の治療法が開発されれば、大腸癌肺転移に有効であることが期待される。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
大腸癌は比較的治療成績が良好であるが、遠隔転移を有するような進行癌においてはやはり良好とは言えず、遠隔転移の予防、治療は治療成績向上につながる。大腸癌の好発転移部位は肺や肝臓だが、その特異的な転移形成のメカニズムは明らかではない。本研究では大腸癌肺転移形成に肺内環境、特に肺のみに多く存在し、その免疫や構造維持に関与するSP-Dが重要であることを初めて明らかにした。すなわち、肺内のSP-Dは大腸癌肺転移の抑制に重要なな働きをしており、この低下が肺転移形成の増悪に寄与している可能性が示唆される。今後このSP-Dをターゲットした様々な治療法の開発が期待される。
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