研究課題/領域番号 |
19K09280
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55030:心臓血管外科学関連
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
平方 佐季 久留米大学, 医学部, 講師 (60597425)
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研究分担者 |
林 真貴子 久留米大学, 医学部, 助教 (70725027)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 大動脈解離 / 血管内皮細胞 / 免疫複合体 / 炎症細胞 / 内皮細胞 / 分子生物学 / 大血管 / 血管 / STAT3 / 血管内皮 |
研究開始時の研究の概要 |
大動脈解離は中高年に突然発症する致死性疾患である。分子病態が明らかでないことが新たな診断や治療の開発を妨げている。申請者は、STAT3の機能が細胞毎に異なり、組織破壊・修復の双方を制御することを発見した。STAT3は解離による組織破壊が進行する時期に血管内皮で活性化する。血管内皮は炎症細胞の接着や血管外遊走を制御するゲートウェイ機能を有し、その調節にSTAT3が関与することが報告されているが、解離病態における内皮STAT3の機能や意義は不明である。本研究では、STAT3が血管内皮ゲートウェイ機能を調節し、炎症細胞浸潤を制御するとの仮説検証を通じ、解離における組織破壊・修復機構の解明を目指す。
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研究成果の概要 |
大動脈解離は原因不明の致死的疾患である。ヒト解離およびマウス解離モデルの組織を観察したところ、解離部位周辺の微小血管内皮細胞ではSTAT3活性依存性に血管の病的リモデリング因子が発現していた。さらに解離発症直前には血管新生応答及びフィブリン、免疫グロブリン、補体C3などの血漿成分の沈着が認められた。正常大動脈にはアディポネクチンが沈着していたが、解離刺激により消失していた。これらのことから解離に先立ち血管保護機能と内皮のバリア機能が破綻しており、大動脈組織で形成される免疫複合体が補体系を介して炎症応答を惹起することが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
大動脈解離は原因不明で前兆なく突然発症し、一旦発症すると致命的になり得る重篤な疾患である。発症が予測できないため解離発症前後の病態は不明であり、逆に発症前後の病態が不明であるため発症予測の手立てがない。大動脈解離における破壊進行に重要とされる炎症応答がどのように惹起されるかは不明である。本研究では、解離発症前に血管保護機能が低下し血漿由来因子による免疫複合体が大動脈壁に沈着し、破壊性炎症を惹起することが示唆された。解離発症前の初期炎症応答に関与するイベントが明らかになったことで、発症の前段階を捉えることが可能になり病態の解明が進むと期待される。
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