研究課題/領域番号 |
19K09293
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55040:呼吸器外科学関連
|
研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
田中 文啓 産業医科大学, 医学部, 教授 (10283673)
|
研究分担者 |
米田 和恵 兵庫医科大学, 医学部, 非常勤講師 (80724806)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 循環腫瘍細胞 / 肺癌 / マイクロ流路システム |
研究開始時の研究の概要 |
肺癌の予後改善のためには遠隔転移の制御が重要であり、そのためには現在の医療機器で検出できない微小転移の検出が必須である。原発巣から遊離して末梢血液内に存在する循環腫瘍細胞は微小遠隔転移の指標として期待され、我々は独自に循環腫瘍細胞検出系を開発した。本研究では、この新規循環腫瘍細胞検出系を用いて、肺癌患者の末梢血液内の循環腫瘍細胞を検出し、その臨床的意義を検討して肺癌の診断と治療の新たな進歩を目指す。特に、検出された循環腫瘍細胞の遺伝子異常などの分子生物学的特性をリアルタイムにモニタリングし、各患者のその時々に最適な個別化治療を届けられるシステムの構築を目指す。
|
研究成果の概要 |
新開発マイクロ流路システム(CTC-chip)によって循環腫瘍細胞(CTC)を効率よく捕捉・検出するための基礎検討を行った。上皮細胞接着因子(EpCAM)の抗体を用いることで、血中に含まれる腫瘍細胞(特に上皮性の表現型をもつ癌細胞)を感度高く捕捉できる系を構築した。 捕捉された細胞は、CTC-chip上での免疫蛍光染色にて判定した。血中にはCTCの他にリンパ球も含まれるので、サイトケラチンおよび核染色陽性かつCD45陰性の細胞をCTCと判定した。 この検出系を用いて実際の肺癌患者の血液サンプルを解析したところ、CTCが検出された群は、検出されなかった群と比べ有意に予後不良であった。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
癌の転移様式としての血行転移はこれまで多くの状況証拠を基に提唱されていたが、実際に血中から癌細胞を分離・採取することは困難であった。しばらく後に抗原抗体反応を利用して血中を流れる腫瘍細胞(循環腫瘍細胞, CTC)を捕捉する概念が生まれ、様々な固形癌で試行されてきた。しかし、肺癌においては捕捉率が低く、感度や特異度の高いCTCの捕捉系の構築が望まれていた。当科ではマイクロ流路デバイスに上皮細胞接着因子の抗体をコーティングすることで、感度及び特異度の高いCTCの捕捉デバイスを構築することが出来た。これによって、癌患者の予後や治療への耐性獲得を予測することが可能となり、臨床の一助となることができる。
|