研究課題
基盤研究(C)
肺癌の血行性転移は機序が未解明で,抑制法も存在しない。我々は、ヒト肺腺癌高転移株PC14HMの血行性転移には細胞骨格vimentin(VIM)の発現が重要であること、その抑制により遊走能や浸潤能、上皮間葉転換化や癌幹細胞化が制御可能であり、VIM受容体としてのinsulin growth factor 1 receptor (IGF1R)の可能性があることを見出した。本研究はPC14HMを用い,VIMをノックダウン/強制発現させることでVIMを介した血行性転移の機序を解明し、さらに肺腺癌に対して抗IGF1R治療薬を用いて血行性転移を抑制する新規のアジュバント療法の開発を目的に研究を行う。
本研究では、我々が樹立した肺腺癌高転移株PC14HMを用いて、親株との比較解析により、Vimentin遺伝子 (以下、VIM)を介した血行性転移の機序を解明することを目的としている。これまでに、VIMのノックダウン、強制発現させた細胞株を樹立しており、それらによる細胞レベル、マウスレベルでの検証実験を行った。また、次世代シーケンスを用いたCAGE法により網羅的に変動遺伝子の解析を行っており、これらの結果を詳細に解析する。最終的にはVIMの転写活性の原因となる遺伝子群を同定するとともに、CAGE解析により得られた知見に基づいて分子生物学的手法を用いて検証実験を行った。
1)ヒト肺癌高転移細胞株と動物実験モデルを用いて、肺癌におけるVIMの血行性転移機序への関与を解明し、さらにVIMの受容体として作用している可能性があるinsulin growth factor 1 receptor (IGF1R)と、VIMとの関連を明らかにする。2)抗IGF1R治療により肺腺癌の血行性転移を制御できるかを検証し、肺癌術後に対する新規アジュバント療法の基礎を確立する。
すべて 2022 2021
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Cancer Discov.
巻: 12 ページ: 792-811
J Biol Chem.
巻: 297 ページ: 101292-101292