研究課題/領域番号 |
19K09336
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
道志 勝 帝京大学, 薬学部, 講師 (30392385)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 甲状腺ホルモン / マウス脳虚血モデル / 海馬神経細胞死 / 低体温療法 / 脳虚血 / 神経細胞死 |
研究開始時の研究の概要 |
脳に血液が流れない脳虚血という状態が一定時間続くと血流を再開させても神経細胞は死滅し、後遺症が残る。低体温療法はこのような脳の障害を防ぐのに有効である。申請者は、脳虚血中に体温を低下させると甲状腺ホルモン(TH)の分泌量が増加し、神経細胞死を防いでいるのではないかと考えた。このことを確かめるために、あらかじめ薬の投与によりTHを合成できなくしたマウスを用いて、脳虚血中に低体温にしてもTH濃度が上昇しなければ、海馬において神経細胞死が発生すること明らかにする。また、マウスの脳虚血中に低体温でなくてもTHを積極的に投与することで血流再開後の神経細胞死の発生を防ぐことができることを明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究によりトリヨードチロニン(T3)の投与がマウス脳虚血再潅流後の海馬神経細胞死を増悪させることが判明した。また、このとき海馬GFAPおよびIba1のタンパク質発現量がT3投与により用量依存的に増加することがわかった。つまり、T3は脳虚血再潅流後の海馬における炎症反応を亢進させ、神経細胞死の発生を増悪していることを明らかにした。さらに、海馬TGF-β1mRNA発現を解析したところ、T3投与により用量依存的にmRNAの発現量が低下していることがわかった。つまり、TGF-β1遺伝子発現の抑制による神経保護効果の低下が、T3投与による脳虚血再潅流障害の悪化の原因のひとつである可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究ではT3投与がマウス脳虚血再潅流後の海馬神経傷害を悪化させることを明らかにした。つまり、体内のT3濃度が高いと脳卒中後遺症がより重度になる可能性が示唆された。一方、脳虚血は脳外科手術などでもみられるため、今回の研究成果は、周術期の脳神経保護の観点から、甲状腺機能亢進症患者や甲状腺ホルモン製剤を服用している甲状腺機能低下症患者の血中T3濃度に対する充分な管理が必要であることを示唆するものであると考えられる。
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