研究課題/領域番号 |
19K09349
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
平井 昂宏 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (00612798)
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研究分担者 |
小西 裕子 名古屋大学, 医学系研究科, 特任講師 (60771970)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | セボフルラン / ケモカイン / がん細胞 / 血管新生 / 大腸がん細胞株 / 吸入麻酔薬 |
研究開始時の研究の概要 |
吸入麻酔薬が一部のがん細胞の増殖を促すとする報告が増えるなか、その安全使用のための正確な基礎データの集積が各国で望まれている。また近年では血管新生を促すがん細胞は遺伝子の異常修飾を利用し一部のケモカイン遺伝子発現を抑え、生体内の新規の血管を誘導することが知られてきた。そこで本研究では吸入麻酔薬暴露後に血管新生を生じたマウス皮下腫瘍がこのようなケモカイン発現不均衡を生じたかどうかを検証をする。
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研究実績の概要 |
本研究では周術期に用いる麻酔薬のがん細胞への影響を調べるために、麻酔後に増加したケモカインに着目し検討を進めた。これまでに研究者らは一部の麻酔薬を暴露したある大腸がん細胞株が、ケモカイン遺伝子の高発現を伴うことを見出した。またこのケモカインの増加は免疫不全マウスの皮下の異種移植においても観察されたことから、麻酔薬暴露刺激によって細胞から発生したケモカインは、マウス皮下の血管新生を促進すると仮説しその検討を進めた。これまでに申請者らは血管新生を促すことが報告されているケモカイン遺伝子発現が麻酔薬暴露によって高まり、そのケモカインタンパク質は暴露から24時間後に発現量を増加することを同定した。そこでボイデンチャンバー法を利用し、麻酔薬暴露後に細胞から発現したこのケモカインが、他の細胞の走化性を刺激するかどうかを調べたが、明らかな違いは見いだせなかった。さらに申請者らはこのケモカインのリガンドの一つであるCXCL-12の発現量を調べたが、リガンドの発現量の変化に有意な差は見いだせてなかった。同様に、申請者らはこのケモカインリガンドのプロモーター領域のメチル化を調べるため、メチル化特異的PCR法によって確認したところ、この麻酔薬暴露によるプロモーター領域のメチル化に違いは生じていないことを同定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究者らは血管新生を促すことがしられているケモカインCXCR2~4が、セボフルラン暴露後に遺伝子の発現を異常に高めたことを確認した。さらにこれまでにそのCXCR-4タンパク質発現量の確認と、ケモカインの走化性についてボイデンチャンバー法を用いて移動能の検討も行った。さらに、CXCL-12遺伝子のプロモーター領域のメチル化をメチル化特異的PCRによって調べたところ、セボフルラン暴露によるメチル化の差は生じないことを同定した。以上のように申請者らは概ね順調に検討を済ませた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の推進方策としてさらに動物実験を行い、血管新生を促した機序を明らかにすることを計画している。すでに研究者らは、実験動物の腫瘍パラフィン切片を完成させており、免疫染色を実施する準備は整っている。特に抗体の特異性を確認するため、候補抗体のウェスタンブロッティングによって確認を進めている。また、実験補助員による作業補助を得て迅速に研究を進める予定である。
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