研究課題/領域番号 |
19K09376
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
澤田 敦史 札幌医科大学, 医学部, 講師 (10551492)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 妊娠鎮痛 / 前帯状皮質 / オピオイド受容体 / ミクログリア / 神経障害性疼痛 |
研究開始時の研究の概要 |
研究期間内に,妊娠マウスを用いた神経障害性疼痛モデルにおいて,前帯状皮質の免疫組織学的解析を行い,脳内の免疫細胞であるミクログリアおよびアストロサイトが妊娠鎮痛に果たす役割を明らかにする.さらに前帯状皮質の分子学的解析を行い,オピオイド受容体の発現を解析することで前帯状皮質が妊娠鎮痛に果たす役割を解明する. 最終的には,妊娠鎮痛の形成に関わるオピオイド受容体の遺伝子を搭載したウイルスベクターを用いて,非妊娠マウスを用いた神経障害性疼痛モデルの前帯状皮質の神経細胞に形質導入を行い,前帯状皮質のオピオイド受容体の発現が増加することで行動学的に神経障害性疼痛が改善することを明らかにする.
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研究成果の概要 |
妊娠そのものが慢性疼痛患者の痛みを和らげる“妊娠鎮痛”と呼ばれており,その詳細な機序は明らかにされていない.本研究において,妊娠マウスを用いた神経障害性疼痛モデルは,前帯状皮質にミクログリアの集積を認めず,神経障害性疼痛を発症しないことが明らかになった.また,妊娠マウスの前帯状皮質においてδオピオイド受容体の発現が増加することが明らかになった.本研究の結果から,前帯状皮質のδオピオイド受容体の増加が妊娠鎮痛の機序の一端を担う可能性が示唆された.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
神経障害性疼痛に代表される慢性疼痛は既存の治療法では十分な鎮痛が得られず,新規治療法の確立が急務である.妊娠そのものが慢性疼痛患者の痛みを和らげる事象は“妊娠鎮痛”と呼ばれており,性ホルモン以外の機序が関与することが明らかになっている.本研究の結果から,前帯状皮質のδオピオイド受容体の増加が妊娠鎮痛の機序の一端を担う可能性が示唆された.本研究は,既存の治療法とは全く異なる妊娠鎮痛の機序を介した神経障害性疼痛の新規治療戦略を提案するものであり,神経障害性疼痛患者の痛み治療の開発を発展させるため,社会に果たす意義は大きいと考える.
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