研究課題/領域番号 |
19K09385
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 明治国際医療大学 |
研究代表者 |
林 和子 明治国際医療大学, 臨床医学講座, 客員講師 (40285276)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 複雑系 / 非線形解析 / 状態空間 / リアプノフ指数 / エントロピー / 麻酔深度 / ポワンカレプロット / 脳波 / deep learning / 機械学習 / 麻酔モニター / poincare plot / デイープラーニング / 筋電図 / 意識 / モニタリング / 深層学習 |
研究開始時の研究の概要 |
ポアンカレプロット解析は、実信号と遅延信号との二次元描出の履歴効果から秩序性を検討する複雑系システムの挙動把握法である.我々はこれを脳波に応用定量化する麻酔深度解析法を発案し、更にポアンカレプロット周波数階層化により浅麻酔領域で必然的に影響が大きくなる筋電図成分をも勘案できる改良を重ねてきた.本研究ではこれら階層化ポワンカレプロット解析の成果にディープラーニングを導入して、脳波変化のパターンを機械学習させることで、入力脳波情報から出力麻酔深度推定スコアに至る重みを決定し、高精度なポワンカレ麻酔深度推定アルゴリズムを作成する.
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研究実績の概要 |
ポワンカレプロット解析は、信号の二次状態空間における履歴効果から秩序性を検討する複雑系システムの挙動把握法である。この解析法を脳波に応用して、複雑系システムである脳神経活動の履歴効果からその秩序性を定量解析することで、統一的な麻酔深度測定法を確立する研究を施行してきた。麻酔効果が深まるにつれて、脳神経ネットワーク活動の履歴が浅くなり複雑性が喪失し、過去の信号履歴が今現在の信号に対し主に線形に作用して系がより線形系に近づく。それが、ポアンカレプロット解析において、麻酔効果として反映される。研究開始以来、このポワンカレプロット解析の課題、つまり、筋電図による干渉や、高齢者における適応、更に、作用機序の異なる薬物に関する検討を行ってきた。 本年度は、2次元の状態空間に反映しきれない可能性のある複雑性の要素を、どのように脳波ポワンカレプロット解析に取り入れてゆくかを模索した。脳神経動態の複雑性定量化が、どのように2次元状態空間上のポワンカレプロット解析に反映されうるかを検討するため、セボフルラン麻酔中の脳波データを、高濃度セボフルラン吸入下と、低濃度セボフルラン吸入下の2段階の麻酔深度において解析した。解析は、カオス解析(リアプノフ指数)とエントロピー解析を用いた。 その結果、深麻酔(セボフルラン高濃度)では、秩序性が増し、脳波のエントロピーは低下する一方で、脳波のカオス性が増大する(リアプノフ指数が増大)結果が得られた。一般に、秩序性が増加し、エントロピーが低下すると、カオス性は低下すると思われ、一見、矛盾するように見える結果であった。カオスや複雑性の定義や理解は単純でなく、更なる考察と検討が必要と考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
脳神経動態の複雑性定量化を、セボフルラン麻酔中の脳波データのカオス解析(リアプノフ指数)とエントロピー解析から検討した結果、セボフルラン麻酔深度を上げると、秩序性が増し、脳波のエントロピーは低下する一方で、脳波のカオス性が増大する(リアプノフ指数が増大)という、一見、矛盾するように見える結果が得られた。これらの成果は、現在、投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
投稿中の論文の掲載を進めるとともに、2次元の状態空間に反映しきれない複雑性の要素を、どのように脳波ポワンカレプロットに取り入れてゆくか、麻酔深度と複雑性解析から探ってゆきたい。
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