研究課題/領域番号 |
19K09390
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55060:救急医学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
大島 拓 千葉大学, 災害治療学研究所, 准教授 (50375789)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | Metabolomics / 重症患者 / エネルギー代謝 / 同化反応 / 異化反応 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的はこれまで明確ではなかった栄養投与を開始すべきタイミングを,代謝産物(metabolome)の解析(metabolomics)により判断できることを示すことである.ICUに緊急入室し長期の人工呼吸管理を要する重症患者でエネルギー消費量ならびに対組成の変化を測定し、その時のmetabolomeが異化反応時のパターンを示すか同化反応時のパターンを示すかによって、内因性あるいは外因性のエネルギー利用の関係や推移を評価することを試みる.更に,高額で時間もかかる代謝産物の測定に代わり,日常的に用いられる生理学的モニタリングや生化学的検査で同様の評価が可能な方法を合わせて検討する.
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研究実績の概要 |
本研究の目的はこれまで明確ではなかった栄養投与を開始すべきタイミングを,代謝産物(metabolome)の解析(metabolomics)により判断できることを示すことである.ICUに入室し人工呼吸管理を要する重症患者でエネルギー消費量ならびに体組成の変化を測定し、その時のmetabolomeの検出パターンによって、内因性あるいは外因性のエネルギー利用の関係や推移を評価することを試みる.更に,高額で時間もかかるmetabolome測定に代わり,日常的に用いられる生理学的モニタリングや生化学的検査で同様の評価が可能な方法の抽出を試みる. 本研究の研究計画について千葉大学大学院医学研究院倫理審査委員会より承認を得た.Metabolomeについても標的を決めずに網羅的解析からパターンの変化認識を目標とする前例のない解析手法を採用した.こうした解析の経験が豊富な千葉大学予防医学センターの職員を研究協力者に加え,主にmetabolome測定から結果の解析における協力を依頼した.これまで臨床検体での測定経験に乏しかったことから,検体処理法や保存法,測定条件の確認を行うために,健常人検体を用いてシミュレーションを行った. 症例登録開始と新型コロナウイルス感染症の感染拡大が重なり,症例集積が大幅に遅れることとなった.その後は重症に症例登録を行うことができ,2022年9月までに19人の患者から同意を取得し,有効な検体採取が可能であった10例について,metabolome解析を行い,栄養代謝や重症病態の変化に関連するmetaboliteが経時的に増減することを確認し,一部の結果を2023年3月に開催された第50回日本集中治療医学会学術集会で報告している.現在はmetaboliteの検出パターンと代謝測定や体組成,その他病態関連のパラメーターなどとの関連について解析を進めている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記の準備を終え、2020年1月より症例登録が開始することを予定していたが、症例登録を始める段階で新型コロナウイルス感染の拡大に伴い、症例登録が困難な状態が続いた。本研究では関節熱量測定が必須であることから、新型コロナウイルス感染の有無が確認されるまで登録が困難であり、千葉大学病院内の家族面会禁止措置により同意取得そのものが困難な事態が続いたためである。 PCR検査の迅速化や抗原検査の感度向上により、安全に症例を選別して組み込むことができる環境が整ってきた。また、同意取得のタイミングが限られるため、説明同意を取得可能な分担医を増やすなどして対応してきた。感染帯対策下での測定の実施方法や、同意取得の方法についても目処が立ったことから、症例登録を再開し、結果的に目標症例に近い症例数を登録することができた。
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今後の研究の推進方策 |
すでに症例集積は順調であったが,解析のための時間を考慮しすでに症例登録は終了している.Metabolomeの測定は完了しており,そのパターン分析と臨床指標との解析を本格化させている.前例のない解析であり試行錯誤を重ねている段階だが,今年度中には解析を終えて,国際学会での発表や論文化を目指している.
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