研究課題/領域番号 |
19K09428
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55060:救急医学関連
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研究機関 | 科学警察研究所 |
研究代表者 |
太田 彦人 科学警察研究所, 法科学第三部, 室長 (40392261)
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研究分担者 |
宮口 一 科学警察研究所, 法科学第三部, 室長 (10370884)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 自然毒 / 中毒 / 高感度LC-MS/MS一斉検出 / 毒草 / 毒キノコ / 毒魚 / 限外ろ過 / 救命救急医療 / QuEChERS / スペクトルデータベース / カエンタケ / 自然毒中毒 / 中毒原因特定 / LC-MS/MS / 網羅的自動検出 |
研究開始時の研究の概要 |
我が国では毎年多数の自然毒中毒事案が発生するが、その多くは中毒原因の特定が難しく、救命救急医療に支障を来している。 本研究は、自然毒中毒発生時における迅速な中毒原因特定技術を開発し、救命救急医療に寄与することを目的とする。 つまり、我が国で中毒例のあった毒草全て、及び毒キノコと毒魚のほとんどについて、その特徴的な自然毒を一度の前処理と普及機器による自動検出で短時間で中毒原因を特定する技術、すなわち試料の種類、化合物の電荷や極性に関係なく一斉に中毒原因自然毒を抽出可能なユニバーサル試料前処理・抽出法、及び膨大な自然毒を一斉に自動検出可能な分析法を、3年間で開発しようとするものである。
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研究実績の概要 |
本研究では、昨年度までに、現在保有する毒草、毒キノコ、毒魚等の自然毒成分(塩基性(126種)・中性(119種)・酸性(15種)・1価及び2価カチオン(6種)・両性イオン(36種)系自然毒、計302種)中、前年度までに250種を中毒原因スクリーニング分析対象として選定した。一方、上記に入っていない自然毒として、当初予定になかったインド産の毒樹オオミフクラギ Cerbera odollam Gaertn. 通称 Suicide Tree の種子(ポンポンシード)の観賞用輸入品を摂取しての中毒死が発生したため、今後の発生を考慮し、5年度目となる2023年度は、オオミフクラギ毒も一斉分析の対象に加えることとした。市販のオオミフクラギ種子ポンポンシードより、オオミフクラギの強心配糖体毒3種を単離精製し、さらにその1種から他の1種を半合成して計オオミフクラギ毒の標品4種を得た。これらについてヒト全血に添加し、他の自然毒250種同様セルロース膜限外ろ過LC-MS/MS高感度一斉分析を行ったところ、ギ酸付加イオンをプリカーサイオンとした場合に検出が可能であった。以上254種の自然毒を、改めて自然毒中毒時における救命救急医療のための迅速な中毒原因特定技術の検出対象とすることとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は実際に世界中の全自然毒の収集、超高感度LC-MS/MSを用いた一斉自動検出技術の構築、生体試料等からの全自然毒の一斉抽出を行うためのユニバーサル抽出法の開発の3段階で構成されるが、これらはいずれも、実験室での抽出実験及びLC-MS/MS実機を直接操作しての膨大な分析実験が必須である。しかし、新型コロナにより出勤抑制や実験時間の大幅な縮小、実験必要品の納品不能や納品遅延等が生じ、予定していた各種ユニバーサル抽出法の検討に大きな遅延が生じたため、これを用いた以降の分析実験、特に回収率測定等にも大きな遅延が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
現時点までで全血中自然毒254種の分析前処理法として最も良好であったセルロース膜限外ろ過については、負荷可能な試料量が最大で100uLであるという制限がある。検出感度のさらなる向上を目指すため、500uLまでの負荷及び濃縮による検出感度向上、及びLC-MS/MSの移動相変更によるピーク分離の向上、並びに時間当たりの装置負荷の軽減による検出感度とS/N比の向上を検討し、最終的な中毒原因特定技術の完成を目指す。
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