研究課題/領域番号 |
19K09573
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
三島 健一 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (40646519)
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研究分担者 |
鬼頭 浩史 あいち小児保健医療総合センター(臨床研究室), 臨床研究室, 副センター長 (40291174)
松下 雅樹 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (60721115)
長田 侃 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (80815324)
神谷 庸成 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (50845542)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 骨壊死 / TLR4拮抗薬 / 破骨細胞 / 骨吸収 / IL-6 / empty lacunae / 海綿骨 / 水溶性ランソプラゾール / ペルテス病 / ランソプラゾール / 骨形成促進 / ドラッグリポジショニング / 虚血性骨壊死 / 圧潰 / 骨形成 / 尾部懸垂 / 抗IL-6受容体抗体 / TLR4阻害薬 |
研究開始時の研究の概要 |
ペルテス病の病態制御には、修復過程における①血管新生の遅延、②活発な壊死骨の吸収、③骨新生の抑制のそれぞれが治療ターゲットとなり得る。申請者らは既存薬であるランソプラゾールに骨形成促進作用が存在することを見出しており、骨吸収抑制薬にはすでにビスフォスフォネート製剤が使われている。骨壊死に続発する股関節炎の遷延は、血管新生の遅延や骨新生の抑制に関与するが、慢性炎症の薬物治療は関節リウマチや敗血症性ショックの基礎研究から開発が進んでいる。本研究の目的は骨壊死によって生じる3つの病態をドラッグリポジショニング薬剤と既存薬との併用療法によって改善することで、ペルテス病の自然歴の改変を試みることである。
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研究実績の概要 |
Toll-like receptors (TLRs)は自然免疫応答において重要な役割を果たす抗原受容体である。壊死骨はTLRsの1つであるTLR4を介してマクロファージを活性化し、炎症性サイトカインを誘導することが報告されている。我々はこうした虚血性骨壊死後に生じる急性炎症を抑制することで骨壊死後の修復機転が活性化されるのではないかと考えている。 今期もTLR4拮抗薬であるLPS-RSの虚血性骨壊死に対する効果を調べた。実験はマウスの大腿骨遠位顆部を栄養する主要な血管4本を顕微鏡にて同定し、これらをすべて凝固焼灼して虚血性骨壊死を誘導する動物モデルを使用して行った。 馴化した12週齢のC57BL/6雄マウスの左後肢に上記の手術操作を施し、術直後に1回、以降は週に2回(Day 0, 3, 7, 10, 14, 17, 21, 24)、LPS-RS 5 mg/kg (薬剤投与群)およびVehicle(対照群)の腹腔内投与を行った。実験中に削痩や脱毛を生じることはなかった。術後2、4、6週に安楽死させ、左後肢から膝関節を残したまま大腿骨と脛骨を採取し、HE染色、TRAP染色、TUNEL染色による組織学的評価、免疫組織染色によるIL-6陽性細胞数の定量評価、マイクロCTによる壊死骨端海綿骨の構造解析を行った。 術後4週と6週時点での壊死骨端における骨梁内empty lacunaeの個数は薬剤群で有意に少なかった。壊死骨端内の破骨細胞数や海綿骨構造パラメータに有意差はみられなかった。壊死骨端内における術後2週時点でのTUNEL染色陽性細胞や術後2週や4週時点でのIL-6陽性細胞数は薬剤群の方が有意に少なかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
年度当初は実験手技をサポートしてくれる実験助手や大学院生の確保および彼らの虚血性骨壊死モデルの習熟に時間がかかり、研究の進捗に少なからず影響した。動物モデルの再現性が向上した結果、TLR4拮抗薬単独の効果検証は進んだが、当初の予定である複数種の薬剤を投与する実験系は実施できていない。
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今後の研究の推進方策 |
来期もマウス大腿骨顆部虚血性骨壊死モデルを使用し、TLR4拮抗薬単独あるいは水溶性ランソプラゾールとの併用投与による壊死骨の圧壊抑制効果を検証していく。今期の動物実験では、TLR4拮抗薬によって壊死骨端内の慢性炎症、骨細胞のアポトーシスが抑制されるという結果が得られたが、骨端の圧潰抑制効果までは確認できなかった。水溶性ランソプラゾール (8 mg/kg)の週3回尾静脈投与(1日1回)を行うと、壊死骨端の骨量や骨梁パラメータが有意に改善するという結果が出ているため、骨壊死誘導後3週までの早期にTLR4の全身投与を行い、その後水溶性ランソプラゾールに切り換えさらに3週間全身投与を行うという実験を計画している。
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