研究課題/領域番号 |
19K09628
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
池村 聡 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (20781933)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 骨壊死 / 大腿骨頭 / 血流障害 / 虚血 / 特発性大腿骨頭壊死症 / 循環障害 / 血管攣縮 / ステロイド / 動物モデル |
研究開始時の研究の概要 |
これまでの研究結果から、特発性大腿骨頭壊死症は、大量のステロイド投与やアルコールの多飲により、循環障害の1つである「虚血」に陥ることで発生すると考えられているが、詳細なメカニズムは不明であり、よって予防法の確立には至っていない。また、何故大腿骨頭に好発するのかという点に関しては全く不明である。本研究では、基礎的研究として、骨壊死動物モデルを用いた循環障害に関与する物質の同定、臨床的研究として、特発性大腿骨頭壊死症患者の関節液の解析を行い、より詳細な病態を明らかにし、予防法の確立に努める。
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研究実績の概要 |
本研究では「なぜ骨壊死が大腿骨頭に好発するのか」という問いに着目し検討を行っている。既に骨頭が圧潰し手術を行った特発性大腿骨頭壊死症患者の単純、造影MRI所見、そして摘出骨頭の病理所見を対比させた。壊死した骨組織は血流がないため造影効果を認めず、非造影域と病理組織学的壊死部の範囲は一致していた。骨頭中央から前方にかけて造影効果がない、すなわち虚血に至っている症例が多く、大腿骨頭の中でも虚血(骨壊死)に至る部位的相違があり、大腿骨頭のより詳細な血行動態に着目することが、骨壊死が大腿骨頭に好発する原因を研究する一助になり得ることが示唆された。単純および造影MRI所見と病理組織学的所見を対比させた本研究結果を2022年Scientific Reportsに報告した(Ikemura S, et al. The influence of bone marrow edema for the assessment of the boundaries of necrotic lesions in patients with osteonecrosis of the femoral head)。 また大腿骨頚部軸に沿ったMRI水平断像と一般的に撮像する体軸に沿った水平断像を比較検討した結果、大腿骨頚部軸に沿った水平断像の方がより正確な前後方向の壊死範囲を同定できることが分かった。更に大腿骨頚部軸スライスで得られた壊死範囲は体軸スライスで得られた壊死範囲よりも関節予後と相関することが判明し、研究成果を2022年Journal of Bone and Joint Surgery American Volumeに報告した(Ikemura S, et al. The Discrepancy in the Posterior Boundary of Necrotic Lesion Between Axial and Oblique Axial Slices of MRI in Patients with Osteonecrosis of the Femoral Head)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度もコロナによる行動制限があり基礎的研究(動物実験)が十分に行えなかった。
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今後の研究の推進方策 |
基礎的研究ではステロイド誘発骨壊死家兎及びマウスモデルを用いて大腿骨近位部(骨頭)と遠位部(膝部)の骨壊死発生率と血管新生因子発現を検討して部位的血流の相違を比較する。臨床的研究に関しては、大腿骨頭壊死症患者と骨壊死以外で造影MRIが施行された両者の造影MRI所見を比較し骨頭栄養血管の血流動態の検討を行う。また、大腿骨頭壊死症に対する外科的治療法の1つである人工関節置換術の周術期合併症を調査し、その予防法について検討する。
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