研究課題/領域番号 |
19K09699
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56030:泌尿器科学関連
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
諏佐 崇生 帝京大学, 医学部, 講師 (20445852)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 前立腺がん / ビタミンD / アンドロゲン / LNCaP / AR / ビタミンD3 / メチル化 / HOXC9 / MT2A |
研究開始時の研究の概要 |
ビタミンD3が前立腺癌に抗増殖作用を示すことが知られていたが、その分子機序にはまだ不明な点が多い。我々の予備的検討により、①前立腺癌に抗増殖作用を示す活性化ビタミンD3 (以下D3)の転写制御の一部が、ARとのクロストークを介したものであることが予想され、②前立腺癌細胞増殖への関連が疑われるMetallothioneinとHOXCsの遺伝子群がクロストークを介したD3とDHTの標的であることが明らかになりつつあり、これらの制御にはDNAのメチル化が関与すると予想されている。そこで本研究課題では、クロストークを介した遺伝子クラスター領域を網羅するエピゲノムの変化の解明を進めていく。
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研究成果の概要 |
本研究から、転写調節因子HOXC9の発現制御機構がアンドロゲンによるヒト前立腺癌LNCaP細胞の増殖、及び、ビタミンD3による抗増殖作用の一端を担うことが明らかとなった。HOXC9は、アンドロゲン依存的にDNAメチル化を介して転写抑制された。HOXC9安定発現細胞の解析の結果、HOXC9はアンドロゲンで活性化したARに相互作用し、ARの標的DNA配列結合を阻害した。即ち、前立腺癌では、HOXC9を抑制することで、アンドロゲン依存的に増殖できる細胞内環境を維持していると考えられ、一方ビタミンD3は、HOXC9を誘導してアンドロゲン活性を阻害し、前立腺癌への抗増殖作用に寄与していると考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
厚生労働省による令和2年の人口動態統計調査では、前立腺がんの死亡者数は12759人であり、これはがん全体の第6位にあたる。高齢化社会が進む近年、加齢に伴って罹患率が上昇する前立腺がんの患者数は増加の一途を辿っている。前立腺がんの治療には抗アンドロゲン薬など複数の薬が開発されているが、それらに抵抗性を示す抵抗性がんの出現が問題となっており、さらなる前立腺がんの新規治療戦略の開発が求められているのが現状と言える。その点、本研究で得られた研究成果は、既存の治療薬とは異なるメカニズムでARを阻害するものであり、新規治療戦略の候補と言えるものであり、本研究には学術的・社会的意義があるものと言える。
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