研究課題
基盤研究(C)
DEFB126のマウスにおける相同タンパク質はβディフェンシン-22(DEFB22)であり、同様に精子膜表面最外層にグリコカリックスを形成することが示されている。しかしながら、これらグリコカリックスと精嚢分泌タンパク質の相互作用については明らかになっていない。そこで、本研究ではマウスを用い、まず、1)SVS2とDEFB22の相互作用を明らかにする。次に、2)SVS2およびDEFB22の精子膜からの除去機構をin vivoで検討する。2)で明らかになった機構を手がかりに、3)精子膜ステロールレベル調節について、関わる細胞内外の因子を探索し、同定する。
受精能獲得時に精子膜からのコレステロールの流出はその契機になるが、生理的な調節機構は不明である。我々はこれまでに、精嚢分泌タンパク質が積極的に精子膜のコレステロール量を保持することを明らかにしている。この作用が異所的な受精能獲得を抑制すると考えるが、その分子機構は明らかではない。本研究ではマウス子宮卵管接合部を短時間培養し、組織透明化により精子の卵管上皮への結合観察を可能にした。また、精子細胞膜抽出物のレクチンアレイを実施し、MbCDによるコレステロールの除去および精嚢分泌タンパク質SVS2の有無により受精能獲得過程が制御されるのと連動して、精子細胞膜糖鎖構造が変化することを示した。
我々を含むほ乳類に共通の体内受精の仕組みを理解することは、挙児を希望するカップルに安全かつ有効な生殖補助医療を提供する基礎となる。特に、本研究のこれまで顧みられることの少なかった精漿成分の体内受精における生理的な役割を明らかにする試みは生殖補助医療への応用も期待できる重要な知見である。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件)
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