研究課題
基盤研究(C)
炎症マーカーであるC反応性蛋白 (CRP)が、腎細胞がんのバイオマーカーとなり、免疫チェックポイント阻害剤療法においても、治療のモニタリングに有用な可能性がある。本研究では、腎細胞がんにおける炎症と免疫の関連メカニズムを解明し、抗がん免疫治療を発展させることを目的として、1.全身血中と腫瘍局所での免疫状態と炎症との関連性を調べ、炎症マーカーの免疫療法における免疫バイオマーカーとしての有用性を明らかとする。2.炎症が免疫抑制を誘導する機序を解明し、新規治療法開発の可能性を探索する。
腎細胞がんに対する免疫チェックポイント阻害剤治療において、炎症マーカーであるC反応性蛋白(CRP)の推移が治療効果と関連していることを示した。なかでもCRPが一過性に上昇したのちに低下した例(flare-response)では、良好な治療効果を示した。また、腎細胞がんの微小環境において、炎症/免疫担当細胞浸潤と全身性炎症反応は正の相関を示した。以上より腎細胞がんにおいて炎症と免疫が相互に関連しながら腫瘍の進展に関与していることを示しており、その機序の解明がさらなる抗がん免疫治療の発展につながると考えられる。
以前より腎細胞がんにおいて、炎症マーカーが上昇している例の予後が不良であり、その低下が比較的良好な予後の指標となることが知られていた。今回の研究において、新規免疫療法である免疫チェックポイント阻害剤治療において、炎症マーカーCRPの一過性の上昇(flare-response)が良好な治療効果の指標となるという新たな事象が確認された。これは、他のがん種でも確認されており、免疫チェックポイント阻害剤治療に共通の特性であると考えられる。これらの所見は、がんの進行、治療耐性の獲得に炎症と免疫の密接な相互作用を示しており、その背景機序を明らかにすることで、抗がん免疫治療の発展につながるものと考えられる。
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