研究課題/領域番号 |
19K09798
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
大沼 利通 福井大学, 学術研究院医学系部門, 助教 (70620483)
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研究分担者 |
吉田 好雄 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (60220688)
黒川 哲司 福井大学, 学術研究院医学系部門, 客員准教授 (60334835)
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研究期間 (年度) |
2022-11-15 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 卵巣癌 / 腹水 / 微量元素 / 銅 / 血管新生 / VEGF |
研究開始時の研究の概要 |
微量元素は多様な生理作用を有し、生体内で重要な役割を担っているものの、婦人科疾患との関わりについては、十分に解明されていない。申請者は誘導結合プラズマ分析装置を用いて、腹水中微量元素の網羅的解析を行ってきた。その結果、卵巣癌腹水では銅元素が高値であり、その濃度は卵巣癌の進行期と相関していた。本研究は腹水中の銅が卵巣癌の進展を増強することを明らかにし、さらに卵巣癌で銅が増加するメカニズムを解明する。これを、in vitroのみならず、in vivoイメージングである64CuアニマルPETで明らかにする。本研究により銅をターゲットとした新規治療法の開発を可能とする研究基盤の樹立が期待される。
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研究成果の概要 |
良性腫瘍や境界悪性と比較して卵巣癌では腹水Cu濃度が有意に高値であった。腹水中Cu濃度は年齢、BMI、アルコール、喫煙、サプリメント使用を調整後も卵巣癌と関連していた。マイクロアレイ解析では、CuはOVCAR3、A2780、Met5A細胞の血管新生関連のbiological processを増加させていた。さらにCuはVEGF mRNA発現とタンパク質分泌を有意に増強することが示された。悪性卵巣腫瘍患者の腹水中Cu濃度はVEGFレベルおよび腫瘍の臨床病期と相関していた。腹水中のCu濃度を低下させる治療は、VEGF発現を抑制し卵巣癌の予後改善に寄与する可能性がある。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
腹水は悪性腫瘍の予後不良に関連しているが、含まれる微量元素の種類についてや、その微量元素の生物学的意義は不明であった。本研究では、卵巣腫瘍患者の腹水中では銅が増加することを示した。さらに銅は卵巣癌と腹膜を構成する中皮細胞の血管新生に関連してることを示した。血管新生は癌の予後悪化に寄与している。実際に卵巣癌患者の腹水銅濃度は血管内皮増殖因子の濃度と相関していることを示した。銅キレート剤は既に他疾患で使用されて安価である。この研究は銅キレート剤を腹水が貯留した卵巣癌患者の治療に利用できる可能性があることを示唆している。
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