研究課題/領域番号 |
19K09853
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
讃岐 徹治 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (10335896)
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研究分担者 |
江崎 伸一 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (20620983)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 痙攣性発声障害 / チタンブリッジ / 病態解明 / 動物モデル / 甲状軟骨形成術2型 / 甲状軟骨形成術2型 / 声門下圧 / 音響分析 / 過緊張発声 / 喉頭科学 / 音声障害 |
研究開始時の研究の概要 |
痙攣性発声障害は、内喉頭筋の不随意収縮により、発話における音声の異常をきたす。痙攣性発声障害に対する治療法として、チタンブリッジを用いた甲状軟骨形成術2型を開発した。これまで長期成績や安全性を報告してきたが、海外においてはまだ受け入れられていないのが現状である。そこでウサギを用いて内転型痙攣性発声障害モデルを作成し、甲状軟骨形成術2型の前後における音声の変化を検討することが本研究の目的である。まず両反回神経を神経刺激装置により刺激して、内喉頭筋を内転し疾患モデルを作成する。その後、a)甲状軟骨形成術2型、b)片側反回神経麻痺、c)甲状披裂筋切除術の各治療を行い、有効性と長期成績を評価する。
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研究実績の概要 |
内転型痙攣性発声障害は難治性希少疾患であり、診断や治療は高い専門性を要す。他覚的検査による診断基準は未だ設けられておらず、診断されるまでに年月を要する患者は少なくなく、ボツリヌス毒素の局所注射や手術といった治療が行われているが、疾患の希少性から治療の比較は困難である。当研究では痙攣性発声障害動物モデルを作成することで、病態や診断、治療に対して解明を図る。 麻酔を施行後に、ウサギの喉頭と気管を露出して、2ヶ所の気管切開をおいた。尾側の気管切開口は気道確保とし、頭側の気管切開口からは空気流を流し、同時に声門下圧を測定した。甲状軟骨形成術IV(輪状甲状軟骨接近術)を施行すると声帯がスリット状に変化し、空気流を流し吹鳴をした。両側の反回神経を同定し愛護的に電極を設置し、一定の刺激条件下で電気刺激を行うと、スリット状の声帯が過内転を起こし、詰まった音を得た。これが痙攣性発声障害ウサギモデルである。痙攣性発声障害ウサギモデルに、片側反回神経切断を加えると詰まった音は改善した。吹鳴時、痙攣性発声障害ウサギモデル、片側反回神経切断を加えた状態の3つの条件で、声門下圧と内視鏡所見、音響分析をそれぞれ評価した。これらからは、痙攣性発声障害ウサギモデルにおいて、声門の過閉鎖が引き起こされていること、片側反回神経切断により過閉鎖が抑制されていることが示唆された。 以上から、in vivoとしては初となる痙攣性発声障害と同様の発声症状をきたす動物モデルを作成し、その妥当性を明らかにして病態解明に近づいた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験動物の購入制限など、コロナ禍での制約が生じた期間ではあったが、痙攣性発声障害と同様の発声症状をきたす動物モデルを作成した。また内転型痙攣性発声障害ウサギモデルに、3つの手術や処置を行った。動物モデルを用いて治療の持続効果を調べるため、治療後のウサギを再度飼育して、1、3、6ヶ月後に同様の測定を実施した。
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今後の研究の推進方策 |
内転型痙攣性発声障害の発声困難の原因である声門過閉鎖が、どの程度抑制されその効果が維持できているかを比較検討してきたが、甲状軟骨形成術2型は甲状軟骨の開大を維持するために用いたチタンブリッジを用いており、埋め込んだブリッジの安全性検討のため組織変化も含めて検討する。
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