研究課題/領域番号 |
19K09857
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
福田 智美 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (40372776)
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研究分担者 |
穐山 直太郎 東邦大学, 医学部, 講師 (90554238)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 中耳真珠腫 / シングルセル解析 / 腫瘍幹細胞 / 腫瘍幹細胞化Key分子 |
研究開始時の研究の概要 |
中耳真珠腫は、骨破壊・脳膿瘍などの合併症を起こす難治性の慢性増殖性疾患で、増殖能が更新した重層扁平上皮と厚い皮下組織を特徴とする。外科的切除術が唯一の根治療法であり、手術後の合併症・後遺症が問題となっているため、保存的治療法の確立が望まれるが未だ腫瘍幹細胞の詳細な解析が出来ていない。本研究では、中耳真珠腫腫瘍幹細胞系譜同定、腫瘍幹細胞化Key分子(マーカー分子)同定、幹細胞の腫瘍化から正常分化への誘導を試み新規保存治療開発を目的とする。本研究では正常幹細胞から腫瘍化ニッチ境界を明らかにすることから、治療のみでなく予防医学も視野に置いた大規模臨床研究につながると大きく期待できると考えている。
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研究実績の概要 |
本研究では、中耳真珠腫腫瘍幹細胞系譜同定、腫瘍幹細胞化Key分子(マーカー分子)同定、幹細胞の腫瘍化から正常分化への誘導を試み新規保存治療開発を目的とする。 中耳真珠腫は上皮系細胞と間葉系細胞の混合的な細胞集団から構成されており、培養系では再現できずまた動物モデルではそのサンプル量が少ないことから、同一個体での個々の細胞集団を解体し解析することが困難であった。「シングルセル(単一細胞)解析」は腫瘍に含まれる細胞を個別に解析していく研究方法であり、細胞集団を解析して平均値を捉えるこれまでの手法では見逃されてきた新しい細胞種、またこれまでにないレベルで細胞機能を解明できると考え、本研究を立ち上げた。 昨年度までの研究で、神経堤細胞(GFP陽性細胞)が中耳真珠腫形成において重要な役割を果たしている可能性が示唆された。また組織から単一細胞への分離する方法論(シングルセル化)の条件設定はできた。 本年度はWnt1EGFPマウスを用いて中耳真珠腫モデルマウスを作製し、正常耳マウスと中耳真珠腫モデルマウスより中耳組織を採取後一細胞に分離し、MPP-300Z マイクロピック&プレース CompassZ システム(ネッパジーン)を用い一細胞分離し、各々の群43個分出しNEBキットでcDNAライブラリー作製し、シングルセル解析を行った。結果、各群でのGFP陽性細胞の含有率が低く、トランスクリプトーム解析を行うことはできなかった。そこで、まずはWnt1EGFPマウスの正常中耳組織より初代培養細胞を樹立し、UnipicK 1細胞・組織ピッキング装置(ネッパジーン)を用い各群よりGFP陽性細胞の抽出を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナの流行のため、実験動物試料の入荷の遅れ、実験消耗品の入荷制限があったため、一時実験室の使用制限があり、実験計画に遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
結果、組織から単一細胞への分離する方法論(シングルセル化)の条件設定を変更した。目的とするWnt1EGFPマウスの正常中耳組織細胞の初代培養細胞を樹立することができた。GFP陽性細胞を明視下にシングルセルにすることができた。 今後はこの手法を用い、中耳真珠腫モデル動物中耳真珠腫組織、コントロール動物中耳組織より初代培養細胞を樹立し、GFP陽性細胞およびGFP陰性細胞を抽出し、RNAseq・トランスクリプトーム解析を行う予定である。
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