研究課題
基盤研究(C)
HPV関連中咽頭癌は欧米はもとより本邦においても急増している。HPV関連中咽頭癌は放射線治療や化学療法に対する感受性が良好で予後も良好である。このためHPV関連中咽頭癌に対して治療強度を下げることが可能であるかを検証する臨床試験が進められているが、HPV関連中咽頭癌のなかには予後不良例も存在する。予後良好な症例に対しては治療強度を下げ、予後不良例には治療強度を高める個別化治療が可能となれば生存率とQOLの向上が期待できる。本研究はHPV関連中咽頭癌における予後規定因子を同定すること、治療前検体より予後予測を可能にすることを目的とし、個別化医療への道標とするものである。
頭頸部扁平上皮癌症例において、Schlafen family member 11 (SLFN11)陽性性は陰性例に比べ全生存期間とむ増悪生存期間は有意に良好であった。HPV関連中咽頭癌では非関連中咽頭癌と比べSLFN11陽性の割合が有意に高かった。HPV感染がSLFN11の高発現に関与している可能性やHPV関連中咽頭癌の良好な治療感受性にSLFN11が関与している可能性が考えられた。
HPV感染により発症した中咽頭癌は喫煙、飲酒により発症した中咽頭癌とは臨床病態や分子生物学的特徴が大きく異なる。HPV関連中咽頭癌は非関連癌に比べて予後は良好であるが、一部のHPV関連中咽頭癌においては遠隔転移をきたし予後不良症例も存在する。HPV関連中咽頭癌は本邦のみならず世界的にも発症数は急増傾向にあり、発症や転移機構の解明が待たれるところである。本研究においてHPV関連中咽頭癌とSchlafen family member 11 (SLFN11)遺伝子との関係を明らかにすることができた意義は大きいと思われる。
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