研究課題
基盤研究(C)
甲状腺癌は悪性度に関して広い性質を持ち、癌が小さなものから進行する際に、ある段階で留まるものや、増悪していくものがある。これまで申請者らはKi-67発現やTERTプロモーター変異が甲状腺癌の悪性度を予測できることを報告したが、臨床応用するためには未だ様々な問題点がある。よって本研究では、穿刺吸引細胞診検体を用いた臨床応用を念頭に置き、上記の問題点を解決することを目的とする。術前細胞診検体で悪性度を予測できる分子マーカーを確立することによって、最適な治療方針選択を可能とし、患者QOLの向上に貢献、さらには新たな治療ターゲットの同定に繋げる。
甲状腺癌は近年、その数が世界的に増加している疾患であり、再発・転移を来す悪性度の高い甲状腺癌を術前に推定できる新たな分子マーカーの発見が望まれる。本研究において我々は少ないDNAサンプルからも高精度に変異を検出できるddPCR法を用いることで、術前細胞診検体からTERT-p変異を検出できる方法を確立し、この変異が術前細胞診における分子マーカーとして有用であることを明らかにした。また、TERT mRNA発現も甲状腺癌の新たな分子マーカーとして有用であることを明らかにし、予後予測マーカーとして高齢者ではTERT-p変異、若年者ではTERT発現が有用であることを報告した。
TERTは甲状腺癌のみならず膀胱癌、肝癌、黒色腫、脳腫瘍をはじめ様々な癌で悪性度と関連しているとされ、本研究によって得られた知見は、他癌種にも応用可能である。また、術前細胞診検体で悪性度を予測できる分子マーカーを確立することによって、最適な治療方針選択を可能とし、患者QOLの向上、医療経済にも貢献できる。近年、スプライシングを制御する薬剤が同定されてきているが、本研究の成果によってこの種の薬剤が抗がん剤として開発が進む可能性もある。
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