研究課題/領域番号 |
19K09915
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
古川 正幸 順天堂大学, 医学部, 先任准教授 (20359524)
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研究分担者 |
岡田 弘子 順天堂大学, 医学部, 助教 (20433774)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 好酸球性中耳炎 / 好酸球性ムチン / 中耳腺細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
好酸球性中耳炎においては不可逆的な中耳粘膜肥厚が認められる。難治性かつ再発性の好酸球性中耳炎の病態解明の鍵は①好酸球の活性化、②高い生物活性を保持する顆粒蛋白の放出、③好酸球の局所への停滞と組織障害の遷延、④粘稠なムチンの分泌である。これらの現象は好酸球の細胞外トラップ死によって説明できることを好酸球と表面上皮細胞及び腺細胞の共培養系を用いて検証する。好酸球の細胞死を制御する戦略は難治性の本疾患の病態解明と治療に貢献できる。
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研究実績の概要 |
研究の独創的特色は、難治性・再発性の好酸球性中耳炎の病態の特徴である好酸球性ムチンの発症の機構を全く斬新な発想で解明することであった。つまり、近年明らかになった好酸球の新規の細胞死が好酸球性ムチンの産生の中心的役割を果たしていることを検証する。これらの機序を好酸球と中耳腺細胞・表面上皮細胞の共培養系を用いて、好酸球の細胞外トラップ細胞死とムチンの形成は活性化された好酸球の顆粒蛋白を能動的に放出させて、局所に長期間に渡り停滞せしめて組織障害を高度に引き起こすことを明らかにすることにあった。 好酸球性中耳炎の中耳粘膜および」好酸球性ムチン内に存在する好酸球が細胞外トラップ死に至っていることを証明、確認した。好酸球性ムチン内の顆粒蛋白であるmajor basic protein (MBP)やeosinophilic cationic protein (ECP)をELISA法を用いて定量した。上記で証明した好酸球の細胞外DNAトラップ細胞死の結果、顆粒蛋白の細胞外への放出が確認できた。MBPやECPの刺激による培養鼻尖腺細胞からのムチン分泌を定量した。顆粒蛋白によるムチン分泌の新知見が得られた。活性化した好酸球と培養中耳腺細胞の分泌応答をin vitroで再現した。以上により、本研究では好酸球の細胞外トラッDNAトラップ細胞死による細胞内顆粒の放出が、中耳腺細胞の好酸球性ムチンの分泌応答および表面上皮の組織障害を引き起こすことを検証した。 以上より中耳粘膜肥厚の発症機序の解明が可能になり、臨床応用可能な治療法の確立が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
活性化した好酸球と培養中耳腺細胞・表面上皮細胞の共培養下で、好酸球の細胞外DNAトラップ細胞死による顆粒蛋白の放出による中耳腺細胞のムチン分泌の増強・表面上皮細胞の線毛運動の障害のin vitro再構築①好酸球の活性化:エオタキシン1を前処理する。②好酸球の細胞外DNAトラップ細胞死の誘導:不動化IgGを添加する。③好酸球からの顆粒蛋白放出の可視化:アクリジンオレンジを負荷し、蛍光顕微鏡で観察する。④中耳腺細胞のムチン分泌・表面上皮細胞の線毛運動:位相差顕微鏡にて観察する この中耳腺細胞の培養が一定せずにいること。
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今後の研究の推進方策 |
国内外において中耳粘膜肥厚を解析した報告は少なく、好酸球性中耳炎における中耳粘膜肥厚の発生機序の新局面を展開する本研究は全く斬新で、独創的である。今まで、中耳粘膜肥厚の発症機構がブラックボックスであった分子生物学レベルでの解明が可能であり、臨床応用可能な治療法の確立が期待できる。このため中耳腺細部の培養を一定にすることが必要である。
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