研究課題/領域番号 |
19K09922
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
|
研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
堀江 沙和 川崎医科大学, 医学部, 講師 (40609666)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
|
キーワード | 嗅球 / 神経回路 / ノルアドレナリン / アセチルコリン / マウス / 電子顕微鏡 / シナプス / 単一ニューロン標識 |
研究開始時の研究の概要 |
匂いの情報を受ける1次中枢である嗅球は層構造をなしている。嗅球では、特異的に存在する出力ニューロンや、抑制性介在ニューロンが嗅覚情報処理に関与している。申請者らはこれまで、嗅球内に遠心性に脳の他の領域から投射するノルアドレナリン(NA)やアセチルコリン(ACh)ニューロンについてその起始核から嗅球までの投射経路を明らかにしてきた。これら2種類の神経線維は自律神経の2重支配の様に、相補的な走行を示すことがわかり、両者によって匂いの情報も相補的な調節が行われている事が考えられた。 本研究では、これらの成果を発展させ、嗅球内に遠心性に入力するNAおよびAchの局所神経回路を解明することを目的とする。
|
研究成果の概要 |
本研究は、マウスの嗅覚情報調節に関わる神経の一つである、脳の他の領域から嗅球に入る、遠心性の入力線維、ノルアドレナリン(NA)とアセチルコリン(Ach)作動性神経に着目し、その神経回路を形態学的に解析した。アデノ随伴ウイルスを注入したトレース実験により、NA及びAch作動性線維の投射経路が明らかとなった。また、免疫染色法及び電子顕微鏡による微細構造解析により、嗅球内ではNA線維とAch線維は相補的な分布を示しており、嗅覚情報の調節において、相補的な役割をしていることが示唆された。現在、各神経線維のターゲットや受容体の分布について、解析をおこなっている。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
嗅覚障害には、末梢の感覚器に起因するも、嗅覚情報処理の場である中枢性のものがある。この中枢性嗅覚障害のうち、ドーパミンの欠乏によるパーキンソン病患者では、70-90%で著しい嗅覚機能障害が起こると言われている。 本研究により、遠心性のノルアドレナリンやアセチルコリン作動性線維と、嗅球内のニューロンとの関係が明らかになることで、嗅覚情報の調節機構の神経回路がわかり、中枢性の嗅覚障害に対する治療法や薬の作製の為の一助となる。また、嗅球の構造や情報の出力、調節機構は嗅球と同様に層構造を持つ、大脳皮質などにも通じ、脳の他の領域でも応用が可能であると期待している。
|