研究課題
基盤研究(C)
滲出型加齢黄斑変性に対し抗体医薬などによる血管内皮増殖因子阻害療法により予後が改善したが、しばしば頻回投与を必要とし、経済的、身体的、精神的負担がある。我々は網膜剥離の手術において気体の水溶性に依存して徐々に吸収、自然消失する現象にアイデアを得て、ガス封入中空デバイスによる抗体医薬徐放が可能か、長期に眼内の薬効を保つことができるかを、動物実験により検証する。本研究により、ガス封入中空デバイスによる抗体医薬の1年以上の徐放効果の確認を行い、徐放を規定する因子(ガスの種類、デバイス内腔の形状)について評価する。また、動物モデルを用いて長期徐放による薬効を検証する。
加齢黄斑変性などの標準治療である抗血管内増殖因子薬の硝子体内注射は、しばしば注射の継続が数年に及ぶため、高齢者のために治療継続が困難となる。この問題の解決のためのドラッグデリバリーシステム(DDS)として、我々は、中空デバイス内を乾燥薬物と気体で満たした新しいDDS製剤の開発を行なっている。アクリル製の緑内障インプラント型デバイスを有色家兎に埋植し、解放部を眼内に留置したところ、半年の抗体徐放が確認できた。内腔をより確保できる網膜剥離手術で行う輪状締結型のデバイスの素材としてテフロンは固く、シリコーンではガス透過率が高く、現在、ガス透過性の低い素材の選別中である。
加齢黄斑変性(AMD)や糖尿病黄斑浮腫は我が国における視覚障害の主要原因で、標準治療の血管内皮増殖因子(VEGF)阻害療法で、多くの症例で、視力改善とその後、数年に渡って視力維持が可能となったが、しばしば頻回の硝子体内注射の継続を必要とし、高額な薬価の問題に加え、高齢者を対象としているため、低頻度であっても脳梗塞など全身への影響、他の病気や認知症などで通院や治療の継続が困難となるなどの問題が浮き彫りになってきている。ドラッグデリバリーシステム(DDS)により薬物徐放できれば、治療効果の長期維持と副作用の軽減、患者コンプライアンスの向上、医療費削減が期待できる。
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