研究課題/領域番号 |
19K09990
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56060:眼科学関連
|
研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
王 淑杰 三重大学, 医学系研究科, 助教 (90567926)
|
研究分担者 |
木村 一志 北海道文教大学, 人間科学部, 教授 (20314180)
後藤 英仁 三重大学, 医学系研究科, 教授 (20393126)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
研究課題ステータス |
中途終了 (2020年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 細胞間接着分子 / ネクチン-1 / 神経シナプス / 網膜 / 細胞接着装置 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者らは、細胞間接着分子のネクチン-1が、マウス嗅球の外網状層において、スポット状の新規細胞接着装置構造(ネクチン-1スポット)を世界に先駆けて報告した。ネクチン-1スポットは、外網状層では、同種の僧帽細胞の側方樹状突起同士を接着していた。さらに、嗅球の糸球体内では、単一の僧帽細胞の一次樹状突起が分岐した枝同士の間にも接着していた。従って、ネクチン-1スポットは、自己細胞間接着機能に関与することが示唆された。この自己細胞間接着の機能的意義を解明するために、本研究では、網膜OPLの神経回路形成において、ネクチン-1スポットの役割を明らかにする。
|
研究実績の概要 |
代表者らは、マウス嗅球の外網状層において、細胞間接着分子のネクチン-1が、スポット状の新規細胞接着装置構造(ネクチン-1スポットと命名)を構成することを世界に先駆けて報告した。ネクチン-1スポットは、嗅球の外網状層では、同種の神経細胞である僧帽細胞の側方樹状突起同士を接着していた。嗅球の糸球体内では、単一の僧帽細胞の一次樹状突起が数回枝分かれするが、これら分岐した枝同士の間でもネクチン-1スポットが接着していたため、ネクチン-1スポットは、自己細胞間接着機能に関与することが示唆された。 これまでの研究結果としては、免疫組織染色により嗅球僧帽細胞の一次樹状突起由来の姉妹樹状突起間接着部位においても、ネクチン-1が局在することを明らかにした。 また、成体マウス網膜においても、ネクチン-1が外境界膜、外網状層(OPL)、内網状層(IPL)の亜層構造S4、S5層に発現することを確認した。特にOPLのネクチン-1は、GluA1との共局在、ならびに錐体細胞のheadに近接したOFF-双極細胞の樹状突起間に局在していることを確認した。 マウスが開眼する生後2週間まで、網膜の構造は発生途中であり、ネクチン-1ノックアウトマウスで小眼球症になることが報告されていたため、眼球の発育にネクチン-1が重要な役割を果たすと考えられてきた。実際、生後10日のマウス網膜でネクチン-1の免疫組織染色を行うことで、網膜発生期にネクチン-1がOPLやIPLに発現することを示すことができた。 以上から、感覚信号処理における嗅覚と視覚経路の二次ニューロンの適切な受容野を維持するため、ネクチン-1が姉妹樹状突起を束ね、制限された空間領域へ収める役割を果たしていることを示唆できた。更に、ネクチン-1スポットの嗅覚と視覚における意義及び役割の詳細を分子レベルで明らかにすることで、情報伝達機構の全容解明に貢献したい。
|