研究課題/領域番号 |
19K10039
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57010:常態系口腔科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
舩橋 誠 北海道大学, 歯学研究院, 教授 (80221555)
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研究分担者 |
久留 和成 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (00592081)
平井 喜幸 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (40344519)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 悪心 / 嘔吐 / 最後野 / 孤束核 / 迷走神経 / 条件付け味覚嫌悪 / 味覚反応試験 / ラット / 化学受容器引き金帯 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究はこれまでに我々が明らかにした延髄最後野ニューロンの化学受容性とその分子基盤に関する研究成果を基に,悪心・嘔吐の中枢機序に関する研究を発展させ,悪心・嘔吐誘発機序の全容解明と新たな制吐療法を確立することを目的として計画した。また,心象である悪心は反射運動である嘔吐と異なり内臓感覚と大脳皮質が司る精神機能が統合されて生じるのであり、嘔吐中枢への入力は必要ないという仮説を立てて検証する。本研究の最終目標は,悪心・嘔吐の発現機序とその制御に関する新たな概念を樹立することである。
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研究成果の概要 |
エメチン、シスプラチン、トラネキサム酸はいずれもCTAを惹起した。TRテストによりこれら全ての薬物が味覚に対する嫌悪感を伴う条件付け悪心を誘発することが確定できた。次に最後野切除群と迷走神経求心路切除群およびそれぞれの偽手術群を作成して同様の実験を行い、1)エメチン誘発悪心は最後野切除によってほぼ消失すること、2)シスプラチン誘発悪心は最後野および迷走神経求心路切除の両方を行ったラットにおいても起こること、3)トラネキサム酸誘発悪心は最後野切除または迷走神経求心路切除によって有意に抑制されることが分かった。また、デキサメタゾン投与によりシスプラチン誘発CTAが抑制されるパイロットデータを得た。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
悪心・嘔吐は様々な疾病や体調不良および消化器系の不調などによって起こる。また、抗がん剤の副作用として重篤な悪心・嘔吐が起こり、食欲不振を招いてがん化学療法の妨げになる。悪心・嘔吐が続くと体力低下を招くだけでなく、生活の質を著しく低下させる。ところが悪心・嘔吐を誘発する中枢神経機序については未だ不明な点が多く残されており、新たな制吐療法の開発を難しくしている。我々の研究成果はエメチンによる急性の悪心・嘔吐と抗がん剤に誘発される悪心・嘔吐は異なる中枢機序によることを示唆している。特に、シスプラチンに誘発悪心にステロイドホルモンが奏功する機序については今後の研究課題として意義があると思われる。
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