研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、1)In vitro及びin vivoにおけるPkn3阻害剤の骨吸収に対する効果、2)Pkn3によるc-Src活性化の分子機構、を明らかにすることである。そのために、培養破骨細胞の骨吸収活性に対するPkn3阻害剤の作用の解明、卵巣切除モデル(骨吸収亢進により骨量減少を呈する)マウスの骨量に対するPkn3阻害剤の治療効果の検証、Pkn3によりリン酸化され、c-Srcの活性化に関与する分子の同定を行う。
骨粗鬆症や炎症性骨疾患において、過剰な骨吸収により、骨量が減少する。骨共役の傷害による骨形成の低下を防ぐために、破骨細胞の骨吸収機能のみを抑制する薬剤の開発が必要である。我々は、Wntシグナルの下流で破骨細胞の機能を亢進させるProtein kinase N3 (Pkn3)を見出した。このタンパク質は、破骨細胞以外の正常な組織には、ほとんど発現していないため、副作用の少ない薬剤を開発する標的として適している。本研究課題において、我々は、骨吸収亢進による骨量減少を示すモデルマウスにPkn3阻害作用が報告されていた低分子化合物を投与した。この化合物は、骨吸収を抑制することで、骨量減少を緩和した。
骨粗鬆症は、日本国内だけでも推定1000万人以上の患者さんが存在する疾患である。骨量の減少による、骨折の増加は、QOLを低下させるだけでなく、寝たきりにつながる可能性もある。骨量の減少は、骨吸収を行う破骨細胞の働きが、骨形成を行う骨芽細胞の働きを上回ることで生じるため、破骨細胞の骨吸収機能を抑制する化合物は、骨粗鬆症の治療薬になり得る。我々は、Pkn3というタンパク質が破骨細胞機能に重要であることを見出した。本研究はその阻害剤が、骨量減少モデルマウスの治療に利用できることを示したもので、臨床応用へつながる成果である。
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