研究課題/領域番号 |
19K10052
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57010:常態系口腔科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
安河内 友世 (川久保友世) 九州大学, 歯学研究院, 准教授 (70507813)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | DOHaD / 口腔癌 / エピゲノム / 炎症 / 葉酸 / 皮膚癌 / 扁平上皮がん / 癌 / エピジェネティクス / 扁平上皮 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、生活習慣病胎児期起源説(DOHaD: Developmental Origins of Health and Disease)、すなわち妊娠母体の栄養状態が児の将来の生活習慣病発症リスクを規定していることが様々な疫学調査によって実証されつつある。 申請者は最近、妊娠母体の葉酸欠乏が胎児の発がん遺伝子にメチル化異常を誘導すること明らかにした。 そこで本研究では、妊娠母体が摂取するOne carbon metabolism 関連栄養素の摂取量に着目した動物実験を行うことで、扁平上皮癌発症素因が胎内で規定されている可能性をエピジェネティックな観点から検証する。
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研究成果の概要 |
本研究課題では、妊娠母体の葉酸摂取状況が、次世代の発癌感受性に影響することの分子基盤の解明を行った。 研究結果として、妊娠母体の葉酸欠乏が、胎児の脱ユビキチン化酵素遺伝子にメチル化異常を引き起こし、当該遺伝子の発現異常をきたすこと、さらに仔が成熟した後も当該遺伝子の発現異常は持続しており、炎症誘発への感受性が亢進していること、また、その傾向が扁 平上皮組織に特に顕著であることが明らかになった。さらに、妊娠母体の葉酸欠乏が、子孫の口腔癌発癌感受性を上昇させることを明らかにした。このことから、母体の適切な葉酸摂取が、仔の将来の口腔癌発癌抑制に寄与していることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
こでまでに、がんにおけるエピゲノム制御については、詳細な検討がなされてきたが、母体(因)と仔 (果)の因果関係について総合的把握を行った研究は非常に少ない。本研究課題では、がんの発症素因として胎内の栄養状態によるエピゲノム変異(先天的環境要因)の提示を行った。口腔癌発症素因が、母体の妊娠期栄養状態によって胎内で既定されうることをその分子基盤を以て実証したことにより、栄養学を通して予防歯学の基盤確立に貢献した。また、現在まで環境素因が主な原因とされてきた口腔癌の病因論に一石を投じることになった。
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