研究課題/領域番号 |
19K10153
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57030:保存治療系歯学関連
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
平 曜輔 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (40226725)
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研究分担者 |
添野 光洋 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 客員研究員 (50315256)
鎌田 幸治 長崎大学, 病院(歯学系), 講師 (60264256)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 接着 / 歯質 / 重合 / 象牙質 |
研究開始時の研究の概要 |
破折歯の予後は多くの因子によって影響を受けるが、接着した破折歯根が長期間機能するためには、象牙質接着システムの性能向上が不可欠である。本研究では、光合成の仕組みを発想の源として、光感受性物質や電子伝達体などを象牙質の表面処理に利用することによって、レジンの接着性改善を図ることを目標に、表面処理剤の試作、接着強さ試験、電子顕微鏡観察、重合時間測定といった実験を行う。
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研究実績の概要 |
破折した歯を接着し口腔内で再び機能させるためには、象牙質に対するレジン系材料の強力な接着が欠かせない。そこで本研究では、光合成の触媒系を発想の源として、光感受性物質やその誘導体を象牙質の表面処理に利用することによって接着界面付近のラジカル重合を促進するという仮説のもとに、接着強度の向上を図ることを主目的としている。実験ではヒト抜去歯を被着体として使用し、表面処理剤の成分や接着材を変えて微小引張り接着強度試験を行なった。リン酸エッチング処理した後に象牙質に塗布するプライマー成分として複数のクロロフィル誘導体を試した結果、銅クロロフィリンナトリウムと鉄クロロフィリンナトリウムが接着強度向上に有効で、特に前者は後者よりも効果が高く、至適濃度が低いことがわかった。象牙質の前処理なし、あるいはリン酸エッチング処理のみ行なった場合は、接着した試料から微小引張り接着強度試験用の試験片を切り出す段階で剥離するほど接着が弱かった。これに対してリン酸エッチング処理した後、微量の銅クロロフィリンナトリウムを2-ヒドロキシエチルメタクリレートと水から成る溶媒に溶解したプライマーを塗布すると、トリブチルボラン系の化学重合型と光化学デュアルキュア型いずれの接着材を用いても、既存の表面処理剤を適用した場合に比べて著しく高い接着強度を示し、また破断面の観察の結果、接着界面の結合が強化されていることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
試作した象牙質用表面処理剤の接着改善効果を評価した結果一定の知見は得られたものの、新型コロナウイルス感染症等の影響によって一定期間中断していた実験を再開し、研究成果をまとめるには、追加のデータ収集が必要であるため。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画に基づいて象牙質の前処理剤を試作し、その効果を接着強度試験、電子顕微鏡観察、重合時間測定等によって評価する。また必要に応じて確実に行える評価法を優先的に行うなど、実験方法を適宜修正して、より高度な研究成果が得られるように今後の研究を推進する。
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