研究課題/領域番号 |
19K10225
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57050:補綴系歯学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
水口 一 岡山大学, 大学病院, 講師 (30325097)
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研究分担者 |
三木 春奈 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (60739902)
水口 真実 岡山大学, 大学病院, 医員 (20634489)
窪木 拓男 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (00225195)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 筋機能訓練 / 遺伝子多型 / 舌機能低下 / サルコペニア / オーラルフレイル / 筋機能 / 要介護高齢者 / 咀嚼機能 / 筋電図 / 顎下筋群 / 閉口筋機能 / 高齢者 / 摂食機能 / ポリソムノグラフ / 機械学習 / 要介護状態の回避 |
研究開始時の研究の概要 |
要介護高齢者の増加への対策が社会的に求められている。また,摂食機能の低下に伴う低栄養が全身の筋力低下につながる。そこで,摂食機能の低下を抑制することにより,要介護状態への転落を遅延できるかもしれないと考えた。近年,四肢や体幹の筋機能訓練と栄養療法の併用で,加齢で低下した口腔機能が回復することが報告され,フレイル予防として国策として取り組まれている。 本研究では,筋機能訓練は健常高齢者の摂食機能維持に有効なのか,という問いをランダム化比較試験により答える。この際,口腔内状態の差異,栄養状態,食事時の筋活動量を併せて検討し,口腔機能の低下を抑制する新たな個別予防プログラム開発への足がかりとする。
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研究実績の概要 |
要介護高齢者の増大に対して,要介護状態の発症を遅らせ,健康寿命を延伸することが強く望まれている。近年,フレイルが高齢者の自立喪失の有意なリスク因子であると報告された。フレイルサイクルの一端に口腔機能,特に咀嚼嚥下機能の低下による低栄養がある。そこで,口腔機能低下に関するリスク因子を早期に発見し,早期に口腔機能,栄養状態の改善を図ることができれば,高齢者の要介護状態への転落を遅延できると考えられた。 そこで,咀嚼嚥下機能の維持,賦活を目的として行われる筋機能訓練の重要性に着目した。この筋機能訓練は,オーラルディアドコキネシスに加え,舌圧も改善することが知られている。この舌圧は骨格筋量よりも体幹筋量の影響を受け,舌機能や舌骨上筋群は速筋繊維が優位な筋と言われている。一方で,サルコペニア発症時には速筋線維優位な筋線維の萎縮が生じるため,速筋はサルコペニアの影響を大きく受けることが知られている。このサルコペニア発症のリスク因子の一つに,ACTN3遺伝子R577X多型による筋線維の萎縮が明らかとなっている。そのため,このACTN3遺伝子多型の差異が,筋機能訓練による舌機能低下ならびに嚥下障害の回避に対するリスクとして考えられるのではないかと着想した。 そこで本年度はACTN3遺伝子R577X多型が,筋機能訓練によって舌機能維持や嚥下機能維持に奏功するのかを評価するための予備的検討を行った。まず,高齢者を対象にDNAを採取する必要があることから,被検者負担の少ない採取方法並びにその結果の妥当性について検討した。その結果,従来の唾液採集によるDNA抽出と同程度の精度を有した採集方法を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまで唾液からDNAを抽出し,ACTN3遺伝子R577X多型の評価を行っていたが,そのためには大量の唾液を採取する必要がある。そのため,要介護高齢者ではその唾液採取が困難であるという問題点があった。そこで本年度は,従来の吐出唾液ではなく,口腔内に残存している唾液や頬粘膜の擦過によって得られた試料からDNA抽出が可能か,またその実行可能性,検査結果の妥当性について検討を行った。 健常者を対象に,通常の吐出唾液を対象とした10名分の試料と無菌綿棒により口腔内残存唾液や頬粘膜の擦過にて採取した唾液サンプル(擦過唾液:4名分)を用いて,DNA抽出,リアルタイムPCRによるACTN3遺伝子R577X多型の解析を行った。さらに,擦過唾液を4名から2回行い,それぞれの資料から得られた結果の妥当性について,検査結果の一致度を用いて検討した。 その結果,吐出唾液,擦過唾液ともにリアルタイムPCRによるACTN3遺伝子R577X多型の評価は十分に行うことができた。さらに,擦過唾液による4名のACTN3遺伝子R577X多型の評価結果も全て一致した。そのため,無菌綿棒による擦過唾液によっても遺伝子多型の解析は十分,実施可能であることが明らかとなった。 これら予備的検討を行えたものの,高齢者の受診控え,高齢者施設への立入禁止処置等により,高齢者を対象とした臨床診査を含む本研究の実施は困難であった。今後,高齢者施設の外部研究者の受入状況の変化に伴い,高齢者サンプルの収集を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの予備的検討から,口腔機能低下のリスク因子と考えられているACTN3遺伝子R577X多型の解析手法は確立できた。さらに唾液の吐出が困難な要介護高齢者の唾液サンプルを習得する方法として,滅菌綿棒による擦過唾液という新たな唾液採取方法を確立したことで,本研究の実行可能性は飛躍的に高まった。同時に,新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い,高齢者施設の研究受け入れ再開にも期待が持てる。 一方で,肥満は高齢者の骨格筋の構造と機能に対するサルコペニアの影響を悪化させる可能性がある。そのため低筋肉量と高脂肪の共存は,サルコペニア性肥満と呼ばれ,高齢者特に女性で問題となる。年齢と身長を調整した場合,筋肉機能,ホモシステイン代謝,DNAメチル化にそれぞれ影響を与えると考えられている3つの遺伝子変異体(ACTN3 rs1815739,MTHFR rs1801131およびMTHFR rs1537516)が肥満の高齢女性のサルコペニアと関連していることが知られている。そのため今後は,サルコペニアに関連する遺伝子多型にくわえ,これら遺伝子多型を加味して筋機能訓練と舌機能,嚥下機能低下との関連を検討することで,それらが筋機能訓練奏功の阻害因子となるか検討を行う。さらに,筋機能訓練が非常に奏功した高齢者と,筋機能訓練の実施によっても舌機能,嚥下機能の低下が認められた高齢者のDNAを採取し,これら高齢者の差異をgenotypeの観点から検討を行うことで,サルコペニアに加え舌機能,嚥下機能低下に関する未知の遺伝子多型の解明を試みる。
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