研究課題/領域番号 |
19K10387
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57070:成長および発育系歯学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
増田 啓次 九州大学, 大学病院, 講師 (60392122)
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研究分担者 |
加藤 大樹 九州大学, 歯学研究院, 助教 (30452709)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 乳歯歯髄幹細胞 / 酸化ストレス / ミトコンドリア / 自閉スペクトラム症 / ダウン症候群 / ドーパミン作動性ニューロン / 自閉症 / ドーパミン |
研究開始時の研究の概要 |
自閉症スペクトラム障害(ASD)は、ニューロン発達やシナプス形成など脳の発達異常が原因である。しかし、生きたヒトの脳を対象とした詳細な解析は、検体採取と研究手法の制限により進んでいない。本研究では、ASDの発症機序として酸化ストレスとミトコンドリア機能との関連を明らかにすることを目的とする。材料は、申請者らが九州大学病院での歯科臨床業務の一環として、ASD児から提供を受けたヒト脱落乳歯由来幹細胞(SHED)を用いる。SHEDは、ニューロンへ効率的に分化誘導できるため病態解明モデルとして有用である。本研究は、ヒトの脳を対象とするASD研究領域に大きく寄与できると期待される。
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研究成果の概要 |
自閉スペクトラム症(ASD)とダウン症候群(DS)は、酸化ストレスとドーパミン作動性システムおよびミトコンドリア機能の不全を含む多くの神経病理において重複している。一方で、DSは、ASDとは異なり、遺伝的要因が明確である。この研究では、DS患児由来の乳歯歯髄幹細胞から誘導したドーパミン作動性ニューロンを解析した。その結果、ドーパミン再利用の調節不全が、ダウン症候群におけるドーパミン作動性システムの酸化ストレスおよびミトコンドリア機能障害に寄与すると結論づけられた。この成果は、多因子性疾患であるASDのドーパミン作動性システム障害の病態解明に結び付くと期待される。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ヒトの脳を広範囲に解析することには多くの制限がある。患者由来の幹細胞は、疾患の神経細胞表現型のいくつかの側面をモデル化することができる有用な代替手段である。本研究の成果は、九州大学病院小児歯科・スペシャルニーズ歯科部門に来院した神経発達障害の患児から供与された乳歯の幹細胞を、基礎研究に活用することによって得られた。様々な神経発達障害児に対する歯科臨床は、障害児の歯科口腔領域の保健衛生と発達支援を主目的とする。一方、歯科医学分野の基礎研究として脱落乳歯を活用した脳の病態解明研究は、障害児が抱える全身疾患への理解を深め、安全な歯科診療マネジメントの確立と小児医学の進歩に貢献することができる。
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